システム奮闘記:その105

電磁気学入門



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(2016年5月22日に掲載)

はじめに  電磁気学入門という事で、クーロン力の話から マックスウェルの方程式までの話を書きました。  大学1、2回生で習う範囲です。  私は学生時代、電磁気学を勉強したものの、すっかり忘却の彼方。  2015年に、電磁気の知識が必要になり、再勉強してみたら 知らなかった事、誤解していた事などが噴出しました。  そこで電磁気を再勉強した際に、私が知らなかった事や 誤解していた事を書く事で、他の人が同じ轍を踏まないようにするのと  こんな事が書いている教科書があれば  という希望から、再勉強した事をまとめました。  オープンソースの世界は「こんなのあればなぁ」と思った事は 自分で作ってしまう精神が大事です。それを電磁気で当てはめてみました。  1年がかりで、七転八倒しながらも電磁気学の勉強した話をご覧ください。
電磁気学入門:目次
スカラーとベクトル 簡単なスカラーとベクトルの話です。
ベクトルは方向と大きさを持つ量。方向という量持っているだけに注意が必要です。
静電気の発見からクーロンの法則 今でこそ当たり前の静電気や導体、絶縁体、電荷など
どういう経緯で発見し、クーロンの法則まで至ったのかの話です。
クーロン力、電場、近接作用 4つの力のうち、クーロン力の位置づけ
電荷が作り出す作用の電場。近接作用の話です。
微分、全微分、方向微分 簡単な微分、全微分、方向微分の話です。
ここをしっかり押さえないと、電磁気の数式の意味が
わからなくなります。
ベクトル解析 電磁気に必要なベクトル解析の話です。
勾配(grad)、2次元のグリーン定理
ストークスの定理の話です。
電位ポテンシャル 電位ポテンシャルです。勾配と電場の関係を使って説明しています。
電気双極子 電気双極子の話です。
物質中で起こる分極を理解するのに必要です。
ガウスの法則 ガウスの法則の積分形、微分形の話です。
ポアソンの方程式、ラプラス方程式 ポアソンの方程式、ラプラス方程式の話です。
単に電荷分布から電位を求めるだけの話にとどまらない
奥が深い分野です。ポテンシャル論、デルタ関数
グリーン関数、固有値問題について触れています。
静電場と渦なしの法則 静電場で、電荷を1周させた時の仕事はゼロ
微分形と微分形の渦なしの法則の話です。
ビオサバールの法則 電気と磁場の関係の発見の話から
ビオ・サバールの法則が導かれるまでの話です。
磁気双極子 磁気双極子の話で、回転電流になります。
物質中の磁場の話にも関連します。
アンペールの法則 アンペールの法則の話です。
積分形・微分形だけでなく、閉回路に流れる電流が作る
磁気双極子の話なども書いています。
ローレンツ力 磁場中を移動する電荷にかかる力(ローレンツ力)の話です。
ローレンツ力は相対性理論が絡んでいる事も紹介しています。
ファラデーの誘導起電力の法則 ファラデーの誘導起電力の話です。
うず電流を使った簡単な物理実験 電力計に使われるアラゴの円盤。
そしてIH調理器で熱するために発生させる、うず電流は
レンツの法則から電流が発生する原理を応用した物だ。

アラゴの円盤の実験と、IH調理器を使った実験です。
気分転換で読んでください。
ベクトルポテンシャル わかりにくいベクトルポテンシャルの話です。
電位は電荷が作る電気のポテンシャルだが
ベクトルポテンシャルは電流が作る磁場のポテンシャルの話です。
オームの法則の微分形 微小領域でのオームの法則の話です。
マックスウェルの方程式 4つのマックスウェルの方程式を書いています。
電場と磁場の変化を図にする事で
rotの回転の意味も理解できます。
ゲージ変換 ゲージ(gauge)は物差しの意味です。
マックスウェルの方程式をE(電場)とB(磁場)の関係式から
φ(電位ポテンシャル)とA(ベクトルポテンシャル)の関係式に
書き換える際、ゲージ変換が使われます。
ゲージ変換の役目を書きました。
電磁波 マックスウェルの方程式から電波が伝わる様子を
視覚的に見てみる話です。
回転のrotはベクトルの微分 ベクトル解析や渦なしの法則で出てくるrotは
ベクトルの微分という話です。
電磁気学の単位系 電磁気学の単位系の話です。
物理量の単位系の指数を見る次元解析
電磁気学の歴史と単位系の変遷について触れました。
電気泥棒:電気と法律の話 電気は物体なのか、無形物なのか。
明治時代に、電気を無断で使った場合、物か、そうでないかで
窃盗罪になるかどうかが裁判で問われました。
ちょっとした科学と法律の話です。気分転換で読んでください。
数ベクトルと基底ベクトル ベクトルの話です。
矢印だけがベクトルでない事。
数ベクトルと基底ベクトルの違いの話です。
多様体、反変・共変ベクトルを理解するのに必要です
多様体 空間を一般化した話です。
▽(ナブラ)の正体に迫まります
外積代数 外積、テンソルについて書いています。
極性ベクトル、軸性ベクトル
外積は行列で、ベクトルは見せかけの姿だった話です。
ベクトルの双対関係 反変ベクトル、共変ベクトル、双対関係
ベクトル解析、外積代数の話
外積、テンソルについて書いています。
ローレンツ力と相対性理論 磁場は電場の相対論的効果だった話です。
ローレンツ力を使って、導線が作る磁場を使って説明です。
微分形式 多様体の話の続きです。
座標に依存しない形での関数やベクトルの微分の話です。
ガウスの法則、アンペールの法則、マックスウェルの方程式が
鮮やかな形で表現できます。
∇(ナブラ)の正体もわかります。
物理と対称性 マックスウェルの方程式をよく見ると対称性があります。
物理の方程式と対称性を数学的な観点でみると
意外なつながりがあるという話です。
マックスウェルの応力 電気力線を弾性体(ゴム)とみなして、力の伝わり方などを
説明した考え方です。
電場エネルギー 電場が持つエネルギーの式を導いた話です。
磁場エネルギー 磁場が持つエネルギーの式です。
手抜きの説明と、直流RL回路を使った説明を書きました。
ポインティングベクトル 電磁エネルギーの流れ「ポインティングベクトル」の話です。
電磁波でもエネルギー保存則が成り立つ話から
ポインティングベクトルを導いています。
電気エネルギーは導線の外を伝わる 導線の外を電気エネルギーが流れる話です。
私が誤解した事、その誤解を解いていく過程を紹介しながら
「目からウロコ」にたどり着いた話です。
物質中の電場 物質中の電場の話です。
分極の話をしながら、物質中の電場の話をします
物質中の磁場 磁性の話をしながら、物質中の磁場の話をします
物質中のマックスウェルの方程式 物質中でもマックスウェルの方程式が成り立つ話です。
導体に侵入する電磁波 導体に侵入する電磁波が減衰していく話です。
表皮効果と同じ「表皮の厚さ」が出てきます
表皮効果 目的の表皮効果の話です。

マックスウェルの方程式を解きながら
交流電流の周波数を上げると、表面にしか電流が流れなくなる話です。


最後に  膨大な量になってしまった電磁気学の話。  最初はLANケーブル内を伝わるデジタル信号が減衰を起こす原因として 表皮効果がある事を知り、その仕組みを知ろうとしたのが目的だった。
表皮効果とは
表皮効果とは
導線を使って交流電流を流す際、周波数を高くするにつれ
導線の中心部分が電流が流れなくなる。
周波数を上げていけばいくほど、電流が流れない領域が広がり
最後には導線の表面しか電流が流れなくなる現象だ。

 最初は学生時代に電磁気学を習っていた事もあり、楽勝かと思ったら
思い出すどころか、初めて知った事が、どんどん出てきた上
「電磁気学を勉強した事がある」という、つまらぬ意地から調べていくにつれ
ドツボにハマりました。

 そして深堀しないと読者は許してくれないだろうという恐怖心(?)から
数学の話に踏み込んでしまい、∇(ナブラ)の正体や微分形式の話まで取り上げました。

 でも、数学の多様体や微分形式、外積代数は量子力学を勉強するのに必要な知識なので
取り上げて良かったと自己満足したりしています。


次章:「LANの基礎 LAN入門のLAN構築に必要な知識」を読む
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