システム奮闘記:その105

電磁気力



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(2016年5月22日に掲載)

クーロン力、電場、近接作用

 電磁気力。  その1つに電荷間に働く斥力(引力)はクーロン力がある。  クーロン力は、相当、強い力になる。
頑丈なロープはクーロン力のお蔭
頑丈なロープはクーロン力のお蔭
ロープウェイを支えるロープだが、分子の大きさにまで拡大すると
分子間同士で引き付け合う力が働いている。分子間力というのだが
これもクーロン力なのだ。
分子同士が持っている荷電粒子が引き付け合っているからだ。

水が液体なのは、緩やかに分子間力(クーロン力)が働いているため
お互い結合しながらも、硬くない物体になっている。
温度が下がり、分子の運動よりも分子間力が強くなれば固定になるし
温度があがり、分子の運動が激しくなると、分子間力では
結合しきれなくなり、気体になる。

(余談)
書写山といえば、2014年の大河ドラマ「黒田官兵衛」のロケ地だ。
標高の山の上に天台宗の圓教寺がある。
966年、性空上人によってできた寺だ。
秀吉が中国征伐の際、毛利と別所に挟まれる窮地に立たされたが
官兵衛の助言により、圓教寺に本陣を置いて難を逃れる。
こんな山の上に軍隊を常駐させたのだから、当時の人たちは
どうやって物資を運んだり、水を確保したりしたのか不思議になる。
是非、姫路に来られる際は、姫路城だけでなく、書写山もお勧めします!

 接着剤も、サロンパスが肌にひっつくのも、ダイヤモンドが硬いのも
クーロン力のお蔭なのだ。

 もし、世の中にクーロン力がなければ

 物体はバラバラになるのだ!!

 余談だが、世の中には4つの力があるのだ。

この世界にある4つの力
重力 質量のある物同士が引きつけ合う力。
身近な例だと、万有引力だ。
質量を持つリンゴと地球が引き付け合ったため
軽いリンゴが地球に引っ張られた形になり、落下したのだ。
電磁気力 電気的作用、磁気的作用によって働く力
(今回取り上げる話)
強い力 陽子、中性子をくっつけるための力。
これのお蔭で原子核がバラバラにならずにすんでいる。
弱い力 素粒子間に働く力。私にはわからん!!
この4つの力を統合する理論として、大統一理論がある。
まだ、完成していない理論だ。
私には理解できない超・難しい世界なのだが
これを読んだ物理の学生さんで「挑戦してみたい」という人がいたら
是非、がんばって欲しいのだ (^^)

近接作用と電場

 クーロンの法則が出てきた。
クーロンの法則
クーロンの法則

 ところで斥力(引力)が発生するのは、何か作用する物があるはず。
 手で押すわけでもないし、息を吹いて動かすわけでもない。

 ファラデーが考えたのが

 近接作用と電場

 なのだ。

 近接作用とは、何かが発生すると、それが波のように伝わる作用の事だ。

電荷による近接作用
電荷による近接作用
電荷によって空間が変化し、相手の電荷に作用するのだ。
この時、作用するための変化は、ある速度で伝わるのだ。
電荷が引き起こす空間の変化は、光の速度で伝わるのだ。

 近接作用と対比語で、遠隔作用がある。
 離れている物に対して、瞬時に作用を伝えるのだ。

 ニュートンが万有引力は遠隔作用だと主張し
その後、電気の場合も遠隔作用と言われていたのだが
ファラデーが近接作用と言い、そしてマックスウェルが
それを元に理論を構築したのだ。

 電荷が引き起こした空間の変化の事を

 電場

 というのだ。

電場とは電荷が引き起こす空間の変化
電場とは電荷が引き起こす空間の変化
クーロンの法則を見てみる。
電荷が及ぼす変化を抜き取ってみる。
E(r)が電場になる。



電磁気学入門の目次
電磁気学入門:目次
スカラーとベクトル 簡単なスカラーとベクトルの話です。
ベクトルは方向と大きさを持つ量。方向という量持っているだけに注意が必要です。
静電気の発見からクーロンの法則 今でこそ当たり前の静電気や導体、絶縁体、電荷など
どういう経緯で発見し、クーロンの法則まで至ったのかの話です。
クーロン力、電場、近接作用 4つの力のうち、クーロン力の位置づけ
電荷が作り出す作用の電場。近接作用の話です。
微分、全微分、方向微分 簡単な微分、全微分、方向微分の話です。
ここをしっかり押さえないと、電磁気の数式の意味が
わからなくなります。
ベクトル解析 電磁気に必要なベクトル解析の話です。
勾配(grad)、2次元のグリーン定理
ストークスの定理の話です。
電位ポテンシャル 電位ポテンシャルです。勾配と電場の関係を使って説明しています。
電気双極子 電気双極子の話です。
物質中で起こる分極を理解するのに必要です。
ガウスの法則 ガウスの法則の積分形、微分形の話です。
ポアソンの方程式、ラプラス方程式 ポアソンの方程式、ラプラス方程式の話です。
単に電荷分布から電位を求めるだけの話にとどまらない
奥が深い分野です。ポテンシャル論、デルタ関数
グリーン関数、固有値問題について触れています。
静電場と渦なしの法則 静電場で、電荷を1周させた時の仕事はゼロ
微分形と微分形の渦なしの法則の話です。
ビオサバールの法則 電気と磁場の関係の発見の話から
ビオ・サバールの法則が導かれるまでの話です。
磁気双極子 磁気双極子の話で、回転電流になります。
物質中の磁場の話にも関連します。
アンペールの法則 アンペールの法則の話です。
積分形・微分形だけでなく、閉回路に流れる電流が作る
磁気双極子の話なども書いています。
ローレンツ力 磁場中を移動する電荷にかかる力(ローレンツ力)の話です。
ローレンツ力は相対性理論が絡んでいる事も紹介しています。
ファラデーの誘導起電力の法則 ファラデーの誘導起電力の話です。
うず電流を使った簡単な物理実験 電力計に使われるアラゴの円盤。
そしてIH調理器で熱するために発生させる、うず電流は
レンツの法則から電流が発生する原理を応用した物だ。

アラゴの円盤の実験と、IH調理器を使った実験です。
気分転換で読んでください。
ベクトルポテンシャル わかりにくいベクトルポテンシャルの話です。
電位は電荷が作る電気のポテンシャルだが
ベクトルポテンシャルは電流が作る磁場のポテンシャルの話です。
オームの法則の微分形 微小領域でのオームの法則の話です。
マックスウェルの方程式 4つのマックスウェルの方程式を書いています。
電場と磁場の変化を図にする事で
rotの回転の意味も理解できます。
ゲージ変換 ゲージ(gauge)は物差しの意味です。
マックスウェルの方程式をE(電場)とB(磁場)の関係式から
φ(電位ポテンシャル)とA(ベクトルポテンシャル)の関係式に
書き換える際、ゲージ変換が使われます。
ゲージ変換の役目を書きました。
電磁波 マックスウェルの方程式から電波が伝わる様子を
視覚的に見てみる話です。
回転のrotはベクトルの微分 ベクトル解析や渦なしの法則で出てくるrotは
ベクトルの微分という話です。
電磁気学の単位系 電磁気学の単位系の話です。
物理量の単位系の指数を見る次元解析
電磁気学の歴史と単位系の変遷について触れました。
電気泥棒:電気と法律の話 電気は物体なのか、無形物なのか。
明治時代に、電気を無断で使った場合、物か、そうでないかで
窃盗罪になるかどうかが裁判で問われました。
ちょっとした科学と法律の話です。気分転換で読んでください。
数ベクトルと基底ベクトル ベクトルの話です。
矢印だけがベクトルでない事。
数ベクトルと基底ベクトルの違いの話です。
多様体、反変・共変ベクトルを理解するのに必要です
多様体 空間を一般化した話です。
▽(ナブラ)の正体に迫まります
外積代数 外積、テンソルについて書いています。
極性ベクトル、軸性ベクトル
外積は行列で、ベクトルは見せかけの姿だった話です。
ベクトルの双対関係 反変ベクトル、共変ベクトル、双対関係
ベクトル解析、外積代数の話
外積、テンソルについて書いています。
ローレンツ力と相対性理論 磁場は電場の相対論的効果だった話です。
ローレンツ力を使って、導線が作る磁場を使って説明です。
微分形式 多様体の話の続きです。
座標に依存しない形での関数やベクトルの微分の話です。
ガウスの法則、アンペールの法則、マックスウェルの方程式が
鮮やかな形で表現できます。
∇(ナブラ)の正体もわかります。
物理と対称性 マックスウェルの方程式をよく見ると対称性があります。
物理の方程式と対称性を数学的な観点でみると
意外なつながりがあるという話です。
マックスウェルの応力 電気力線を弾性体(ゴム)とみなして、力の伝わり方などを
説明した考え方です。
電場エネルギー 電場が持つエネルギーの式を導いた話です。
磁場エネルギー 磁場が持つエネルギーの式です。
手抜きの説明と、直流RL回路を使った説明を書きました。
ポインティングベクトル 電磁エネルギーの流れ「ポインティングベクトル」の話です。
電磁波でもエネルギー保存則が成り立つ話から
ポインティングベクトルを導いています。
電気エネルギーは導線の外を伝わる 導線の外を電気エネルギーが流れる話です。
私が誤解した事、その誤解を解いていく過程を紹介しながら
「目からウロコ」にたどり着いた話です。
物質中の電場 物質中の電場の話です。
分極の話をしながら、物質中の電場の話をします
物質中の磁場 磁性の話をしながら、物質中の磁場の話をします
物質中のマックスウェルの方程式 物質中でもマックスウェルの方程式が成り立つ話です。
導体に侵入する電磁波 導体に侵入する電磁波が減衰していく話です。
表皮効果と同じ「表皮の厚さ」が出てきます
表皮効果 目的の表皮効果の話です。

マックスウェルの方程式を解きながら
交流電流の周波数を上げると、表面にしか電流が流れなくなる話です。



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