オ−プンソースの品質ですが、LinuxやApacheといった
有名なソフトですと
商用と遜色のない品質!
と言われています。
普通に考えたら、耳を疑いたくなる謳い文句です。
プロが作った商用ソフトが、無償のソフトと遜色がないのは
信じがたい事です。でも、事実です。
それを可能にしたのは、ソフトという特殊な製造物と
インターネットの普及のお蔭です。
無償で高品質なソフトができる仕組みを説明したいと思います。
ソフト会社に勤めるプログラマがいます。
ソフト会社での仕事といえば |
---|
ソフト会社のプログラマーは顧客の要求に合わせて プログラムを作成します。 |
でも、腕に自信のある本職のプログラマーの中には
自分の作りたいソフトが作れなくて、欲求不満が溜っている人が
結構、多くいます。
自己顕示欲の強い本職のプログラマーが 自分の作りたいソフトを作成し公開 |
---|
本職のプログラマーで、寝食を忘れてプログラムを作成する人がいます。 勤務時間外に、自分の作りたいプログラムに没頭し、かつ、 自分の作品を自慢したい人は、インターネットを通じて プログラムを公開する行動を起こす事があります。 |
つまり、本職のプログラマー(中には超一流のプログラマー)が
自己顕示欲と作品自慢のために
プログラムを公開
という行動に出ます。
ソフトは、他の工業製品と違い、データのため、いくらでも複製可能です。
インターネットを通じて、自分の作品を頒布事ができます!!
世界中には色々な人がいます。
公開されたソフトを見て、なんと修正して、それを伝える人もいます。
利用者が修正や助言を行なう |
---|
利用者といっても素人ばかりではなく、本職のIT技術者もいます。 プログラムの問題点を指摘したり、修正したものを送り人もいます。 もちろん、自己顕示欲の強い利用者もいますので 「修正や助言の代わりに、俺の名前を載せて」という人もいます。 修正や助言の引き換えに自分の名前を掲載してもらう。 そんな取引ができると、良き共同開発者になってきます。 |
そして、オ−プンソースの中には、どんどん利用者が増えて
有名になるのもあります。
有名になればなるほど、仕様書の片隅でも良いから
自分の名前を載せて欲しい人も出てきます。
有名になれば、協力者が増えてくる |
---|
有名なオ−プンソースになっていきますと、自分の名前が載るのが 名誉な事なので、名誉を得ようと、自発的に協力する人たちが増えてきます。 |
どんどん開発規模が大きくなり、高品質なソフトが生まれる状態に
成長していきます。
実際、無償OSで有名になったリナックス(Linux)では
以下のようになっています。
リナックス(Linux)の開発体制 |
---|
Linuxの制作者はリーナスさんです。 自らプログラムを行なうと同時に、指示を出す役割を果たしています。 その下には、中心開発者がいて、リーナスさんの補佐を行なっています。 中心開発者の下には、多くの開発者がいます。 (注意) あくまで簡単に開発体制を描いていますので、正確にはもっと複雑です。 |
Linuxの開発者は世界中に10万人を越える!
とも言われています。
マイクロソフトよりも大規模な開発体制になっています。
無償のオ−プンソースの開発に企業が協力して何の得があるのか?
そんな疑問を抱くのは当然だと思います。
しかし、実際には企業戦略としてオ−プンソース開発に協力した方が
利益になる場合があるためです。
大手IT企業であっても |
---|
大手IT企業であっても、WindowsやLinuxといったOSや データベースの開発を行なう事は困難です。 数千人単位の研究者・開発者、莫大な投資が必要なためです。 しかし、OSやデータベースといったIT基盤になる部分は 押さえておきたいという考えがあります。 |
莫大な投資や人員を抱えずに、IT基盤を押さえる方法。
敵に敵は味方にしよう |
---|
Windowsの競合なら、LinuxやFreeBSD。 OracleやSQLServerの競合なら、PostgreSQLやMySQL。 商用ソフトと競合するオ−プンソースを味方につける。 オ−プンソースを育てて、商用ソフトと対抗できるようにすれば IT基盤を押さえる事ができます。 |
そこで企業は開発コミュニティーに支援を行ないます。
企業が開発コミュニティーへ支援を行なう |
---|
技術者の提供や資金援助といった形で支援を行ない オ−プンソースの開発を加速させ、より高品質な物へ 発展させていくために協力していきます。 |
コミュニティーに支援を行なった結果、企業は高品質なソフトを
無償で使う事ができます。
支援を行なった結果 |
---|
研究所を抱えなくても、莫大な費用をかけなくても より良いIT基盤を手に入れる事ができます。 |
これ以外にも、企業が支援して利益を得る方法がありますが
ここでは割愛します。
無償で高品質なソフトが開発される仕組みを
ご理解していただけましたでしょうか?