システム奮闘記:その5

中小企業でグループウェア導入に挑戦



(2001年12月21日に掲載)
はじめに

 ナレッジマネージメントと呼ばれる「知の共有」
 昔から情報の共有はあった。ホワイトボードや回覧などなど。
 でも、同じ館内でしか使えない道具だ。

 だが、今や社内LANを活用して、全社共通のホワイトボードが
できたりするようになった。

 そういえば以前、社長が

 うちも情報共有できへんか

 と言ってノーツを導入しようとしたが、見積書の値段を見て断念した話がある。

 だが、2000年にインターネット接続ができ、時代はIT化の追い風。
 IT先進企業を目論んでいた私なので・・・

 うちの営業マンが情報共有できれば!

 優秀な営業マンの手法などを共有できれば、売上が上がる。
 単純な発想で、グループウェアの導入を考えた。

 しかし、費用はできるだけ押さえたい。
 そんな時、サイボーズのOffice3(当時のバージョン)のお試し版があるのを知る。

 なんと、2ヶ月間、無料で使える!

 「よし、本社で試験的に使って、便利だったら、上に申請をしよう」と思い、
さっそくお試し版を導入した。

 しかし、反応は、芳しくなかった。
 何せ中小企業。社長以外は全員同じ部屋にいる

 無理に掲示板や予定表を使わなくても、部屋にあるホワイトボードや
個人の予定はメールや口頭の連絡で済む。

 会議室の予約などもいらない。2つあれば充分だから。

 使ってくれたのは、以前からグループウェアを導入したがっている社長。
 新しい物好きの上司や数人の同僚だった。
 だが、他の人からは・・・

 口頭でええやん!

 使うのに手間がかかる!

 の反応だった。
 こりゃ、雲行怪しいなぁと思った。


 芳しくない反応。
 でも、価格は高くないのでダメ元で稟議をあげたが・・・
 そして上に稟議を挙げたのだが・・・

 時機尚早。保留!

 だった。
 使いもしない物にお金をかける必要はないのが上層部の本音だった。


自作でグループウェア

 やっぱりなぁと思いつつも、グループウェア導入にこだわる私。  そこで、社内向けホームページを作成。  情報交換の場として掲示板が最適と思い、インターネット上から 無料の掲示板を取り込んでインストール。 役員予定表も作ろうということで、会社におねだりして、 プログラム言語「Perl」の本を買ってきた。 Perlは初めての言語。でも、CGIに活用できることと、 大抵のCGIのプログラムがPerlなので改良などにも使える。 学生時代、C言語でif文などを触っていたため、あまり抵抗なく Perlは受け入れられた。似ている言語だと覚えやすい。 「へっぽこグループウェア」として、掲示板、役員予定表、リンク先(業界集)を 作成しスタートした。
自作の役員予定表
入力画面
役員予定表の入力画面
表示画面
役員予定表の画面
Perlの本を見ながら、なんとか作成しました (^^;;

 しかし、「へっぽこ」の名の通り、すぐに綻びが出始めた。
 役員の予定を入力する担当者から、役員予定表の使い勝手が悪い言われた。
 それだけでなく、そもそも役員予定表の必要度がなかった。
 営業所の人は、役員予定表など見ないし、本社の人は、
担当者が作成した張り紙を見る。
 なので、担当者からは・・・

 入力が面倒くさい!

 と言われ、入力してくれなくなった (TT)

 掲示板は最初の頃は、比較的、使われた。
 本社の人が、通信費削減と意見などを集めるために
営業所にFAXに流さないで掲示板を利用した。
 みんなに使ってもらうために、話題は何でもありにした。

 そのため、本社や営業所の人が雑談や要望なども書いてくれた。
 一種のコミュニケーションの場になっていった。

 しかし、1ヶ月ぐらいたって、社長から規制がかかった!
 会社の役に立つことに使うこと。通達、提案などに限る。要望、雑談は禁止。
  規制がかかると人間は萎縮する。誰も書かなくなる。
 掲示板は誰も書かないまま、忘れられた存在になっていった。

 そして、この記事を書いている今、「へっぽこグループウェア」は
過去の物となって忘れられた存在になってしまった。


 後で、ある営業所の所長が至極当たり前の指摘があった。

ある営業所長からの指摘
うちに掲示板などを導入してもダメだよ。
営業マンは力仕事だし、夜遅くに営業所に戻ってきた時は
みんな死にかけた顔をしているから、パソコンなんて触る気は起こらないよ

 営業から帰ってきて疲れ果てているのに、パソコンなんて
触る気が起こらないのは当然だろう。

 例え、良い物を入れたとしても、使う気が起らないと「猫に小判」だ

 なので、へっぽこグループウェアだと廃れるのは当然なのだ。

 こうして、うちの会社のグループウェアの導入に幕を閉じた。
 めでたし。めでたし ← オイ、ちゃうやろ (^^;)


その後について  グループウェアソフトの購入は高いため、部分的な機能を 無償のオープンソースを使って導入していきました。
導入例と奮闘記の対応関係
その13
Web上でファイル管理システムを構築。
PostgreSQLのラージオブジェクトを利用しました。
でも、あまり活用されませんでした (^^;;
(文書管理システムの導入)
その30
カレンダー風の予定表を無償のpgCalendarを使って導入。
社内の人たちの予定表がWeb上で見れ、情報共有につながる話です。
(みんなのカレンダー)
その66
Webファイルマネージャーを導入。
無償で日本初のオープンソースであるaxlopeを使いました。
(Webファイルマネージャー axlopeを導入)
その69
Webメールを導入。でも、私しか使っていません。
(WebメールのSquirrelMailの導入)


まとめ どんなに素晴らしいソフトでも使わない場合がある。 そこで、お試し版の活用で様子を見ることができるので、必要かどうか判断できる。 また、フリーソフトの活用で、初期投資を押さえられる。 宣伝にのせられて、大企業の真似をして、高いシステムを購入する必要はない。 むしろ、無料ソフトを上手に組み合わせて使った方が、安いだけでなく 機能も少ないので使い勝手が良いので、そちらをお勧めします! また、連絡事項は掲示板にこだわる必要もなく、メールで送る手段もあります。 必要な物を上手に組み合わせたら、費用をかけずに、まともなシステムが可能です (^^)

次章:「ネット販売システムの導入」を読む
前章:「ホームページ公開」を読む
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