システム奮闘記:その3

パソコン教育



(2001年12月12日に掲載)
(2008年4月13日に大幅加筆)

パソコン教育:おじさん編

2000年、ようやくLinuxサーバーの構築でき、ホームページの閲覧も メールもできるようになった。 社長が「役員にもパソコンや。これからの時代は必要だ」ということで、 2000年7月に、ソーテックのe-oneシリーズ(MACもどき)を5台購入。 誰も社長が購入された話は知らなかったので驚いた。 ところで、困った問題が出てきた。 役員はもちろんのこと、ほとんどの社員がメール、ホームページの 閲覧方法を知らなかった。 しかし、会社は社員向けに1冊も入門書を買ってくれない。 そのため、自家製のテキストを作るしかなかった。 泣く泣く私が作成するハメに (TT) パソコン学習。 一番良いのはパソコン教室に通うか、パソコン研修なのだが 中小企業に、そんな予算も設備もない。自然と「個人で勉強」となってしまう。 しかし、独学の場合、質問する相手がいないのが問題になる。 そのため、私がへルプデスクとなってしまう。 ユーザー企業にいると、自宅にパソコンを持っている人が少なかったりするため、 パソコンを触れない人が多い。ウソのようなホントの話が、どんどん出てくる。 まずは、よくある50代、60代の、オジサン達の話から。 操作の説明している時に、本部長が「字が見えへんのやけど」と言ってきた。 そうか! 老眼か! と思い、フォントの大きさを変えた。字は大きくした。 しかし、次なる問題はマウスだった。 ダブル・クリックができない!! 初めは、ポポンとマウスを押す感覚が、わからないために、 ゆっくりクリックしているとばかり、思っていたが、そうでもないみたい。 どうやら、ダブル・クリックが老化現象でできない、または、 覚えにくいようだ。そこで、マウスの設定を変更。 キーボード入力。ある部長が・・・  わしゃ、ローマ字がわからへん と言った。 そのため、「かな入力」に変更した。しかし、困ったことが起きる。 かな入力だと、「ぅ」などの小さい文字の打ち方など聞かれても、 私の方がわからへん (--;; 他に全角文字の「*」などの記号の入力の仕方もわからない。 私の方が頭を抱えてしまった。
役員の2人が メールより電話の方が安いで! と言った。 私が「どうしてですか?」と尋ねると以下の答えが返って来た。 電話だったら2、3分で終わる所を メールだったら1時間かかるかもしれへん。 時間給にすると高いやろ なるほど。すごく説得力がある。 高い給料を貰っている役員が、メールを書くために何時間もかければ、 非常に、もったいない。 でも、社長命令で、渋々、コンピューターを覚えないといけない役員達。 ここで悲劇が起る。わからないことがあれば、私の所へやってくる。 特に忙しい時ほど「ちょっと来て」と呼ばれる。 質問の大半は「オイオイ、そんなことで聞かなでくれよ。トホホ」の内容だった。 しかも、何度、教えても覚えてくれない人達もいた。 (TT) 役員からの質問。具体例では「ファイルの保存法がわからない」とか、 「文章の下に下線を引くのは、どないするんだったっけ?」や 「改行を取り消したいのだけど、どうすれば、ええのや?」とか 「エクセルの画面が消えた」と言ってきたので見たら、最小化されていたとか。 ほとんどインストラクターの状態だった (TT) なかなかキーボードが打てない部長が、自力でメールを書くのを断念。 「悪いけど、わしの代わりに、メールの代筆、頼むわな」と言ってきた。 すでに部長秘書になっていた でも、1通のメールを書くたびに缶ジュースをごちそうになったので、 喜んで引き受けた。 オジサン達の厄介なのは、何度、教えても覚えてくれないにも関わらず、 他の人が便利な機能を使っていたら、使いたがること。 特に、役員同士のライバル争い(?)に巻き込まれると厄介だ。 ある役員がエクセルで文章を作成しているのを、別の役員が見て 「わしもやりたい」と言って、就業時間が過ぎたら呼び出だされ 個人授業のために、数日間、毎日1時間拘束されるハメに (TT)

パソコン得手不得手は年齢関係なし!

20、30代の社員は覚えが早いかと言えば、そうでもない。 確かに、メールやブラウザの使い方を覚えるのは早かった。 携帯電話のメール機能と連動させて遊んだりしていたため、 楽しみながら覚えていたからだった。 でも、それ以外は、全然ダメだったりする。 営業マンが「お客さんに綺麗な文章で資料を渡したい」と言って 本社にワープロ依頼。 パソコンを自宅に持っている人でさえ、自宅ではワードは触らないため ワード、エクセルの操作がわからない。そのため、本社に依頼がくる。 「そっちでやってよ」と言うと どうせ暇やろ! の一言・・・。 営業マンは内勤者のことを暇だと思っている。  どこの会社でもあることだけど・・・ (--;; 通信費用削減のため、営業マンには携帯メールで連絡するのだが・・・ 俺にメールくれたか? と電話をかけてくる営業所長。なんのための携帯メールなの???  パソコンが触れない人ばかりの営業所だと、ソフトのインストールに 四苦八苦する。
ソフトのインストールのとほほの話
(1)
ある営業所の話。その営業所ではパソコンを持っている人がいるので、
大丈夫だろと思っていたら「インストール方法を教えて」と電話。
CD-ROMを入れるだけやろ・・・ (--;;
(2)
「まず、マイ・コンピューターのアイコンをクリックしてください」
と言っても、理解してくれない。
そこで「では、画面の左上にある、コンピュータの絵になっている部分を
2回、マウスを叩いてください」と言う。
しかし、「見つかりません」と返答。泣きそうになる (TT)
特に電話越しで説明すると、メチャクチャ疲れる。


(この問題は以下のように解決)

2003年に遠隔操作ソフト・RealVNCを導入し、私の方で
インストール操作を行なう事で解決しました。
「システム奮闘記:その20」(RealVNCで遠隔操作)をご覧ください。

 「ウイルス感染防止のために、宛名不明のメールを読まないでください」と
通達すると「ウイルスって何?」の問い合わせ。

  パソコンを触れない人ばかりの営業所では、メールを開けないため、
数日に1度しか読まない。FAXからメールにした意味がない。

  インターネット上で何か調べたい人がいたので「検索サイト」を紹介。
  しかし、「どう調べて良いのか、わからない」だった。
  文字を入力する場所を教えたら、「凄い」と驚かれた。


  メーラ─(OutlookExpress)を開くパスワードを忘れる人。
  忘れたらアカンと言って、自分の名字を設定する人。
  盗まれるものなんかないと言って、パスワードを設定しない人。
  幸い、サーバー接続のパスワードとメーラーを開くパスワードが違うため
サーバー接続のパスワードは、全て私が決めた。
  もし、同じだった場合は、大変なことになる。大きなセキュリティー・ホールだ。


パソコン教育をしていて思うこと

(1) 多機能すぎること パソコンやソフトが多機能すぎることだ。 Windows98、OutlookExpressやIE(Internet Explore)など多機能すぎるのだ。 マニュアルは分厚い。入門書といっても分厚い上、専門用語が羅列しすぎ。 これだと初心者は混乱するのは当り前だ。 (2) 用語が難しすぎる パソコン用語は難しすぎる。 アイコンとかフォルダーと言われても、ピンと来ない。 元々、パソコン用語は、難しくないのだ。 アメリカで生まれたので、英語なのだが、身近な言葉を当てはめて パソコンの機能と用語が連想できる物にしている。 そのため、非常にとっつきやすい。
パソコン用語の日米の比較
アメリカ アメリカの用語の訳 日本
Display表示、表示版ディスプレー
Icon絵印
教会にある聖書を絵に表した物
アイコン
Double click2連打ダブルクリック
File書類を綴じる物ファイル
Folder書類ばさみフォルダー

  中国ではパソコン用語を巧みに翻訳しているため、とっつきやすい。
  詳しくは「システム奮闘記:その58」をご覧ください。


  だが、日本の場合、カタカナのままで、翻訳されていないため
意味が消失した用語となっている。
  そのため、初心者にとっては、非常に、とっつきにくい状態だ。
  頭の中で、新たな概念を構築する必要があるため、大変な作業になる。

  翻訳を怠ったメーカやソフト会社の責任は大きい

  世界の中で日本のIT技術者が育たない、不足していると言われているが
その原因の1つにはパソコン用語の翻訳を怠ったため、ITに親しみが湧かず
敬遠している気もする。


  (3) ソフトのバグが多すぎる

 頑張ってエクセルで文章を作成している途中で「不正な処理をしました」
と表示がでて、エクセルが落ちて、折角の文章がオシャカになる。

Windowsでお馴染みの「不正な処理」
Windowsでお馴染みの「不正な処理」

 これはパソコンを触る意欲を削ぐ大きな原因になる!

 上級者的発想は「こまめに保存をかけない方が悪い」となるが、
現実は無茶な話なのだ。
 慣れない手つきで一生懸命、入力していたら、保存にまで頭が回らない。

 特に、オジサン達は、大変な作業を乗り越えて、ようやく完成という所で、
文章がオシャカになれば、ショックは甚大。

 私は「気を落とさないでください。全てマイクロソフトが悪いのですから」
と慰めると同時に、MSに怒りを感じる。

 見る見かねてMSサポートセンターに電話する。
 大抵、無責任で誠意のない対応をする。
  完全にブチ切れた私は怒り爆発させ、1時間くらい電話越しで

  てめぇーが欠陥商品売っとるのやろ!

  今すぐバグを直しに来んかい!

  PL法対象外だから平気で不良品売っとるのか!

  などなど、散々、怒鳴り散らした事がある。
  こうやって怒鳴る事で、文章がオシャカになってショックで打ちひしがれた
オジサン達の溜飲を下げる目的もある。


  できる事なら、アメリカ本社に電話をかけて

  You must come here to fix bugs quickly!!

  You must take responsibility!!

  と怒鳴りたくなる。


 Windowsなどのソフトの使用許諾書は、次のように書いている。
  「当方に過失があると認知している分でも賠償責任は負わない」
  PL法対象外を理由に、欠陥商品を出しても大丈夫というMSの怠慢以外の
何物でもないとしか思えない!
  関係者の話では、そもそもMSのアメリカ本社にはバグをなくそうという意識がない!

  アメリカ人は物作りの精神が日本人やヨーロッパ人に比べ大幅に欠如した集団。
  アメリカ文化の負の部分がソフト開発の面にモロに現れている。

 もちろん、利用者の立場としては黙っているわけにはいかない!
 消費者を舐めきったMSの悪徳商法はいつかは滅びる。そう信じて止まない!

改めてパソコン教育を考える(2008/4/12追加) パソコンが世に浸透しているものの、世の中にはパソコンが苦手な人はいる。 パソコンを触りたがらない人達も多くいる。 パソコンは多機能で、メーカやソフト会社の怠慢により用語の翻訳がされず しかもバグが多くて初心者の学習意欲を削ぐ原因が多いのだが、 パソコンを触れる人の中には 触らない連中が怠慢 といった声がある。 これには私は反論したくなる。 自分ができる事は、必ずしも人にできるとは限らないのだ。 人間、得手不得手がある。それを無視した発言だ。 ここでとる方法は2つある。 もし、業務に支障がなければ 無理に覚えてもらう必要はない。 嫌々、触っても覚えられないのだ。ますますパソコン嫌いになるだけだ。 もし、業務上、パソコンを覚えてもらう場合は、苦手な人が存在を認識し、 触りたがらない理由を踏まえた上で どうやってパソコンを触ってもらうように導くか なのだ。 「触らない連中の怠慢」と切り捨てる連中こそ、教育を考えない怠慢なのだ。 確かに、なかなか覚えてくれないなどで、イライラする事もあるのだが そこは我慢し、粘り強く教えるしかないのだ。 多機能、用語が難解、バグが多過ぎという初心者にとって最悪な条件が 揃っているためだ。パソコン教育の問題の本質は、この3点だと思う。

子供と大人の覚え方の違い

子供の場合、すぐに覚えられる。 では、なぜ子供はすぐに覚えられ、大人になると覚えにくいのか。
子供と大人の違い
(1) 子供の場合は感覚的に操作を覚える。
(2) 大人の場合は理屈で操作を覚える。

  子供の場合、ゲームなどの操作を通じて、XXボタンなどを覚えるが、
意味不明な用語があっても用語の意味にこだわらず、無意識のうちに
操作の手順として覚えていく。
  操作間違えなどは気にしない上、遊びの過程で覚えるため、
操作に失敗しても落ち込まない。そのため飲み込みが早い。


  大人の場合、理屈で覚える
  XXキーを押せば、どういう動きをし、どういう操作になるといった感じだ。
  そして、難解な用語があると、意味が理解できないため、立往生してしまう。
  本の通りにやってうまくいかなかった場合や、操作に誤って変な画面が出ると、
落ち込んで「私には無理」と悲観的になりがちだ。


  その差だと私は考える。
  でも、大人であっても、パソコン用語が簡単で、遊び感覚で覚えられる
環境であれば、パソコンは難解ではないと思ったりする。

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