システム奮闘記:その20

VNCでパソコンの遠隔操作



Tweet
(2003年7月22日に掲載)
はじめに

  うちの会社はユーザー企業。それもITと無縁の人が多い。

  そのため、パソコン関係でトラブルが起こると、私はサポートセンターになる。
  本社なら、その人の所へ駆けつける事ができるのだが、
営業所となれば、困った問題が起こる。

  相手の画面の内容がわからへん (--;;

  電話でやりとりしながら、相手の画面の状態を頭で想像するしかなかった。
  凄く疲れる作業なのだ・・・。

  ソフトインストールの場合も、問い合わせの電話がくる。
  私は君子でないので・・・

 マニュアルぐらい読んでよ!

 と思う事もがあるが、一概に、利用者が悪いとは言えない。

ITの世界に、まかり通っている問題
パソコンやソフトのマニュアルがカタカナの氾濫も手伝って
初心者には近寄りがたい物になっている。
ソフトのインストールの説明で設定画面を端折っている場合があり
素人が混乱しやすい状態になっている。
初心者向けの改善を行なう気がないのかと思ってしまうのだ。

  そうなれば、素人が混乱するのも無理のない話だ。
  システムを導入して以来の、頭の痛い問題だった。

  そのため「Windowsの遠隔操作ができるソフトがあればなぁ」と思っていた。
  UNIX系ならtelnetがあるため、遠隔操作が可能。
  xhost+のコマンドを使って、Cシェルなら「setenv DISPLAY ホスト名:0.0」と
打てば、遠隔操作するマシンの画面が出てくる。
  しかし、Windowsにはそんな物がない。だから、無理だろうと思っていた。

  だが、その認識は誤りだった (--;;

  「WindowsXP評価導入ガイド」(SE翔泳社)の、ITプロのお仕事の部分に
あのカリスマ・システム管理者の柳原さんが執筆されておられる記事があった。

記事の内容
UNIXユーザーがWindowsNTを批判する場合に、最も多い意見が
「WindowsNTはリモート操作ができない」というものがある。
実際にはかなりの管理項目をリモート操作できるので、
「できない」というのは勉強不足を露呈しているだけ・・・

  まさに私は勉強不足を露呈した!! (--;;

  しかし、その時は「へぇ、そんなソフトがあるのか」と思ったが
なぜか導入しなかった。なぜなのかは記憶にありませーん (^^;;

RealVNCの導入

そして、月日は流れていった。 電話でのパソコンの対応。ハッキリ言って疲れる。 ある日、商用の遠隔操作ソフト「PC-anywhere」があることを知る。 だが、費用が発生する上、どこまで操作ができるのか、わからない。 「無料で遠隔操作ができれば便利だなぁ」と思った時、ふと、記事を思い出した。 さっそく記事を取り出してみた。 フリーの遠隔操作ソフト  VNC  だった。

RealVNCのインストール

どらどらVNCって、どんなものかなぁと思って、早速、ダウンロードしてみた。  RealVNC社のサイト インストールは簡単に出来た。 インストールに四苦八苦したら、奮闘記のネタになるのだが、ネタが作れず残念。 さて、実際に、VNCを動かしてみると面白い上、非常に便利!
RealVNCで遠隔操作中の画面
RealVNCで遠隔操作中の画面
私の使っている端末から、ある営業所のパソコンを
遠隔操作している様子。
相手の現在、開いている画面が、そのまま写し出され
マウス操作ができる。
これだと、遠隔地のパソコンの操作が楽々できる。

  自分のパソコンから、遠隔操作したいマシンの画面が表示できる。
  そして、マウスだけで操作できる。

  VNCはWindowsだけでなく、Linux版もある。
  Linux上からWindowsの遠隔操作や、Windows上でLinuxの遠隔操作ができる!

Linuxの画面からWindowsマシンの遠隔操作中の画面
LinuxマシンからRealVNCを使ってWindowsマシンの遠隔操作中の画面
私の使っている端末から、近くにあるLinuxマシンを遠隔操作。

(こわい話)
実は、Linuxの画面はroot権限で遠隔操作が可能です。
どういう場合かと書くと、Linuxマシンをrootでログインして、
rootでVNCを立ち上げると、遠隔操作でログインする場合は、
簡単にrootで入ることができます。
もし、これからVNCを導入してみようという方は、ご注意を!

実は、この時は、rootでログインしています。
まぁ、ローカルにつないでいる実験用のマシンなので、大丈夫か (^^;;

(Windows版との違い)
Windows版の場合は、相手の画面を表示してくれるし、その状態での操作が可能。
Linux版の場合、別プロセスで走るため、相手の画面を表示するわけではない。

  こんな面白いソフトはない。しかも、無償ソフトなので、ありがたい。

  遠隔操作するパソコンの前に、パソコン好きな同僚を座らせた。
 そして遠隔操作を実演した。

同僚とのやりとり
今から面白い事をします
同僚 勝手に動かしたらアカンやん
これ、便利でしょ。
同僚 これを使えば、営業所のパソコンの設定なども楽になるなぁ
それが目的ですわ

  RealVNCを、どの営業所からインストールしていこうかなぁと思っていた矢先、
パソコン好きの部長が、金沢へ出張。
  そこで、部長に頼み、金沢営業所のパソコンにVNCをインストール。
  早速、動作テストを行なった。

  本社と営業所の間はフレームリレー回線(64K)で結んでいるため、
動きは、ぎこちないが、それでも、結構、使える。
  遠隔操作を見た金沢の所長が・・・

 俺が操作中に、いたずらせんといてな

 と笑いながら言った。


  さて、名古屋営業所にVNCを入れようと考えた。
  事務員さんに電話して、VNCをインストールしてもらった。
  そして、遠隔操作を行なってみた。
  事務員さん曰く

 何も触っていないのに、動くので不思議ですね!

 まるで、ポルタ─ガイストだわ!


  しばらくして、東京支店にいる部長が本社に出張でやってきた
  部長はVNCを見て「俺のパソコンがトラブったら、見てくれへんかなぁ」
と言ってきたので、早速、VNCを入れた。早速、デモを行なった。
  部長が驚きながら・・・

 おっ、俺のパソコンが勝手に動くやん!

 と言った。

  さて、面白い現象を発見。VNCで遠隔操作中は、遠隔操作のパソコンの
壁紙が表示されなくなる。


  埼玉営業所から電話がかかってきた。
  事務員さんが「何か、変な物が出てきたんですけど」だった。
  「変な物」と言われても何かわからない。今までだったら、色々、想像していたが、
ここでもRealVNCの出番。
  事務員さんにRealVNCをインストールしてもらい、遠隔操作をした。
  大したことではなかった。なんかの表示(記憶にないが・・・)だったので、
「×」ボタンで消した。
  事務員さん曰く「面白いですね。何も触っていないのに、勝手に画面が動くので」

  まだ、全営業所にインストールしたわけではないので
徐々にインストールされていくと思う。


まとめ VNC。遠隔操作に非常に便利です。現地にパソコンに詳しくない人がいても、 VNCを使えば、パソコンの操作ができる上、問い合わせに対しても、 色々、神経を集中させて想像する必要がないため疲れることなく、 VNCでパソコンの状態を見て、適切な処置が行なえるからです。 これのお陰で、問い合わせの対応が一気に楽になりました (^^) 他に商用のパソコン遠隔操作ソフトとして「PC-anywhere」があります。 これは、TCP/IP以外に、NetBEUIなどの複数のプロトコルに対応しています。 その上、LANでの通信以外に、モデルをつけて電話回線を使ったパソコン同士の接続 (ISDNやダイヤルアップ)などにも対応しています。 しかし、LAN上でTCP/IPしか使わない場合は、VNCで十分だと思います。 用途に応じて、使い分ければ良いと思います (^^)

次章:iptables LinuxのパケットフィルタリングNATの設定」を読む
前章:ISDNからADSNへの地獄の回線切り換え作業」を読む
目次:システム奮闘記に戻る

Tweet