システム奮闘記:その94

著作権・著作権法の入門



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(2011年8月21日に掲載)

はじめに  著作権といえば、次の事を連想する。  ソフトのコピー禁止!  雑誌などの内容の無断掲載禁止!  これ以外にも、いくつか挙げられる。  だが、改めて著作権を考えると・・・  わからへん (^^;;  だった。
うちの会社であった著作権の話  著作権に関する話だが、うちの会社でも以前からあった。  数年前の、ある日の事、隣の部署の部長から  業界紙にうちの記事があるから  ホームページに掲載しといて!  だが、うちの会社の記事であっても無断で掲載はできない。  そこで部長に対して  著作権法に触れますので掲載できません  と答えた。  すると、部長曰く  なんで、うちの記事なのに載せたらアカンねん?  だった (--;;  ありがちな「うちの記事だから、うちがエエと言えば問題ない」という発想だ。  私は、新聞記事の無断掲載を行なう事は著作権法に違反する事は知っていたが 詳しく説明できる知識はなかった。  とりあえずここは以下の説明で切りぬけた。
こんな説明で切りぬけた
うちの会社の記事ですが、記事の文章や内容の所有権は
出版社にあり、うちの所有物ではありません。
なので無断で掲載する事はできません。

 なんとか納得してもらえた (--;;


 著作権に関係する話。
 こんな問い合わせがあった。

 Youtubeの動画を社外向け研修に使いたい!

 個人で見るなら問題なくても、企業で使うと営利目的になってしまう。
 この場合、無断使用になるから問題になるかもしれない。
 だが、著作権の知識があるわけでないため、合法か非合法かの判断に困る・・・。

 著作権法に触れる可能性が出てくる事を伝えると、保留する事になった。


 法務担当でもなければ、大学の法学部出身でもない私。
 私に法律なんぞ、わかるわけがない。それに、そもそも・・・

 中小企業に法務担当なんておらへん!

 というのが現実だ。
 まさに・・・

 Lawyer(法律家)がいない!

 ローヤーがいない!

 そして・・・

 牢屋(ローヤー)に入りたくない!

 おそまつさまでした・・・ (--;;

 著作権違反で懲役刑を食らうのは、相当、悪質な場合になるのだが
その他、法律違反して牢屋に入るのだけは勘弁したい所だ。


著作権に興味を持った経緯

 IT担当をしていると、必然的に著作権の話にぶつかる。  今までは・・・  感覚的に良し悪しを判断していた (^^;;  これでは正しい判断ができるわけがない。  もちろん、著作権に関しては初歩的な知識しかなかった。  だが、2011年になり、色々な事を疑問に思うようになってきた。  そんな話を取り上げます。

「使用」と「利用」の違い

 日常、「使用」と「利用」の単語を使う時、意味の違いを 意識して使う事はない。同じような意味合いで使ったりするのだが ソフトウェアを含めた著作権物の話を扱う場合は  明らかに意味が異なる!  なのだ。  一体、何が違うのか? 調べてみる事にした。
「使用」と「利用」の違い(著作物)
使用 著作物の恩恵を受ける事。
音楽や映像なら見たり聞いたりする事だ。
ソフトウェアなら、そのソフトをパソコン上などで操作する事だ。
利用 著作物を用いて利益を得る事。
音楽や映像は、著作物を上映したり販売して
利益をあげる事だ。

ソフトウェアの場合は、ソフト販売や加工販売して
利益をあげる事だ。

 本来、日常で使う場合の違いも調べてみた。

「使用」と「利用」の違い(日常版)
使用
そのものの性質によって定まる用法にしたがって
これを使う事。

純粋に対象物を用法通り使う事だ。
利用
色々な方法や形態を駆使して、その対象物が持つ利点を
積極的に生かして用いる事。

要するに、本来の使い方以外の方法も含めて活用し
何か利益をあげる目的がある意味合いを含んでいる。

 日本語の勉強になった (^^)

 普段、何気なく使う言葉でも、意味合いが異なるため
正確に意味を押えないと誤解を招く元になると思った。


「配布」と「頒布」

 ソフトウェア、特にオープンソースの話になると次の2つの単語が出てくる。  「配布」と「頒布」  ところで・・・  「頒布」ってどう読むねん・・・ (--;;  読み方を知らないと、どういう意味なのか聞きたくても 人に聞けないという状態になる。  そこで調べてみると  「頒布」は「はんぷ」  だった。  日本語の難しいのは、漢字の読み方だ。  中国語の場合、原則として1つの漢字に1つの音になるのだが 日本語の場合、訓読み、音読み(呉音、漢音、唐音)があり、覚えるのが大変だ。  そこで「配布」と「頒布」の意味を調べてみた。
「配布」と「頒布」の意味
配布 特定の人に配る事

「試験用紙を配布してください」と言えば、試験会場にいる
特定の人に配っているので、正しい「配布」の使い方になる。
頒布 広く不特定多数の人に配る事

「ネットを使ってチラシを頒布する」と言えば
不特定のネット上の利用者に配る事になるので正しい使い方になる。

 「配布」の意味が「特定の人に配る」という意味だったとは知らなかった (^^;;
 日本語の勉強になった。

 でも、著作権の話をする上で「特定」か「不特定」で考える場合
「配布」と「頒布」の使い分けは重要になると思った。

MS-Officeのライセンス条項を読む

 ソフトウェアの著作権に関しては、個々のライセンス条項に記載されている。  そこで、MS-Office2007のライセンス条項を読んでみる事にした。  すると、結構、技術的な表現で書いているのを知る。
MS-Office2007のライセンス条項(抜粋)
複製権の関する部分・その1
1.総則。
本ライセンス条項は、本ソフトウェアの複製1部を
以下に規定するその他のすべての権利と共に、1つのデバイス上に
インストールし使用することを認めるものです。

 要するに・・・

 1台のパソコンのみインストール可能やろ!

 と言いたくなった。

 でも、敢えて、マイクロソフトがこんな表現を行なっているのには
何かわけがありそうだ。続きを見てみる。

MS-Office2007のライセンス条項(抜粋)
複製権の関する部分・その2
2. インストールおよび使用に関する権利。
お客様がライセンスに基づいて本ソフトウェアを使用するには、
その前に当該ライセンスを1つのデバイスに割り当てることが必要です。
当該デバイスが「ライセンスを取得したデバイス」となります。
ハードウェア パーティションまたはブレードは、
独立したデバイスとみなされます。

 これを見ると、不思議に思うのは「デバイス」や「パーティション」といった
ハードウェアや技術的な用語を使うのかだ。

 単純に「1台のパソコンに1ライセンス」という表現を使わないのか。

 でも、「1台のパソコンに1ライセンス」という表現だと
以下の事でも、良い事になる。

1台のパソコンに1ライセンスの場合
1台のマシンとした場合
もし、1台のパソコンに1ライセンスという書き方だと
パソコンサーバーを使って、仮想化を行ない、
複数の仮想OS上にインストールする場合でも
1ライセンスで良い事になる。

これではマイクロソフトが儲からないので、こんなライセンスには
しないのだ。
ハードディスクパーティションを
独立したデバイスとした場合
パーティションを独立したデバイスとみなした場合
パーティションごとで独立したデバイスとなるため
仮想化を行なった場合、各仮想OSに1ライセンス必要になる。

要するに、巧妙な方法を防止するため、巧妙(?)な文言にしているのだ。



 第三者への譲渡について、パッケージ版とプレインストール版の場合
異なる内容になっている。

譲渡に関する記述の違い
パッケージ版
第三者への譲渡。
本ソフトウェアの最初のユーザーは、本ソフトウェアおよび
本ライセンス条項を一度だけ、第三者に直接譲渡することができます。
デバイスと分離して譲渡する場合、最初のユーザーは、
譲渡する前に本ソフトウェアをデバイスからアンインストールする必要があります。
最初のユーザーは、本ソフトウェアの複製を一切保持することができません。
本ソフトウェアを譲渡する前に、本ソフトウェアを譲り受ける人は
本ライセンス条項が本ソフトウェアの譲渡および使用に
適用されることに同意しなければなりません。
本ソフトウェアの譲渡に際しては、ライセンス証明書も譲渡するものとします。
本ソフトウェアがアップグレードである場合、譲渡は本ソフトウェアの
旧バージョンもすべて含んだものでなければなりません。
プレインストール版
第三者への譲渡。
お客様は、ライセンスを取得したデバイス、proof of license ラベル
および本ライセンス条項と一緒の場合にのみ、
本ソフトウェアを直接第三者に譲渡することができます。
譲渡の前に、本ソフトウェアの譲受人は本ライセンス条項が譲渡および
本ソフトウェアの使用に適用されることに同意しなければなりません。
お客様は、本ソフトウェアのコピーを一切保持することができません。

 パッケージ版の場合は

 1回だけ譲渡可能!

 プレインストール版なら

 パソコンと一緒なら譲渡可能!

 というわけだ。

 パッケージ版とプレインストール版では、ライセンス条項が
異なるのを初めて知った。


 あと、こんな物を見つけてしまった。

他のデバイスへの再割り当て(パッケージ版)
他のデバイスへの再割当。
お客様は本ライセンスを他のデバイスに再割り当てすることができ、
その回数に制限はありませんが、一度割当を行ってから 
90日間は再割当を行うことはできません。再割当を行った場合、
再割当の対象となったデバイスが「ライセンスを取得したデバイス」となります。
ハードウェア障害のため、ライセンスを取得したデバイスの使用を停止した場合は、
ライセンスの再割当を直ちに実行することができます。

 一度、パソコンにインストールすると、故障でもしない限り

 90日以内に他のパソコンへのインストールが不可能!

 というわけだ。

 知らなかった。
 それにしても、一体、何のために、こんな文言があるのだろうか?
 無断複製防止のためなのか。謎だ・・・。


 他にも、こんな文言も見つけたのだ。

輸出規制の文言
輸出規制。
本ソフトウェアはアメリカ合衆国および日本国の輸出に
関する規制の対象となります。
お客様は、本ソフトウェアに適用されるすべての国内法および国際法 
(輸出対象国、エンドユーザーおよびエンドユーザーによる
使用に関する制限を含みます) を遵守することに同意されたものとします。
詳細については www.microsoft.com/japan/exporting をご参照ください。

 もし、海外に転勤や留学の際、MS-Officeを引越し先に
運びたくても

 安易に持ちだしできへんのか!!

 税関での手続きが必要なのだ。知らなかった (--;;


 ライセンス条項を読むと、思いもしなかった事が書いてあるのだ。
 素人感覚で「こうだろう」と思い込むのは、危険だと思ったのだ。

ライセンスの文言の掲載について
ライセンスの文言の無断で掲載しているが、全く問題がない。
契約書の場合、著作物にならないからだ。


著作権の勉強開始

 著作権について、全く知識がないため、これは勉強しないと 足元をすくわれそうな気がした。  そこで、まずは著作権の勉強を始めようと思った。  勉強のために以下の本を読む事にした。  「著作権の基本と仕組みがよ〜くわかる本」(リバーシティ法律事務所監修:秀和システム)  著作権とは何か?
本の18ページにある「著作権」とは
思想または感情を創作的に表現したものであって
文芸、芸術、美術、または音楽の範囲に属するもの

 そして著作物は9種類あるというのだ。

9種類の著作物の内訳
言語の著作物 小説、脚本、俳句、講演、論文、etc...
音楽の著作物 楽曲、楽曲を伴う伴奏
日本舞踊
無言劇の著作物
日本舞踊、バレエなどの振り付け
美術の著作権 絵画、版画、彫刻、書
建築の著作物 芸術的な建築物
地図、図形の
著作物
地図、学術的な図形、設計図など
映画の著作権 劇場用映画、アニメなど「録画されている動く映像」
写真の著作権 写真、グラビアなど
プログラムの
著作権
コンピューター・プログラム

 法律上、9種類に分類されているとは知らなかった。

 IT関係ではプログラムの著作権の話が出てくるが、法律上、
1985年から著作物扱いになったのだ。

プログラムは表現だと思う・・・
私はプログラマーではないので、勝手な見方になってしまうが
リーナスさんにしても、他のオープンソースの開発者の方にしても
「俺はこんなソフトを作った」と言って公開している。
コンピューター上で、自己表現を行なうための手段として
プログラム作業がある。そう考えると表現という側面で見れるので
著作物として扱うのも妥当かなぁと思ったりもする。

 本を読み進めていくうちに、知らなかった事だけでなく
普段、何気なく使っている言葉でも、実は、あまりわかっていない事にも気づく。


アイデアと表現の違い

 アイデアと表現は異なる。  そもそも・・・  アイデアって何やねん?  「思いつき」、「発想」という言葉は連想できるのだが、表現と何が違うのか。  そこで調べてみたら、わかった。  具体例をあげて、比較してみた。
「アイデア」と「表現」の違いの例
アイデア
阪急電車の沿線を舞台にした映画を作ろう。
神戸線ではなく、今津線の中で起こる話にしよう。
沿線の大学が多いので、戸田恵梨香そっくりの女子大生を登場させて
主人公は「目の保養」と喜ぶ形にする。

主人公が逆瀬川駅で降りて、近くの喫茶店に入る設定にする。
その喫茶店で中谷美紀そっくりのOLが、男性と女性を
問い詰めている様子を設ける。
内容は、OLの彼氏が浮気をした事に対しての尋問にする。
OLの台詞で「こんな女と浮気しただけでなく、生でやったわけ」
という内容にする。

浮気相手の女性は、安めぐみそっくりにしておけば、男性が
お色気攻撃に簡単にやられる設定にできるだろう。
表現
今日も阪急今津線に乗る。沿線には、いくつか大学があるため
女子大生をよく見る。中には戸田恵梨香そっくりの女の子がいて
目の保養(o)をしながらルンルン気分で電車に乗る。

何気なく逆瀬川の駅で降りて喫茶店に入ると、ものすごい剣幕で
OLが男女2人に問い詰めていた。
そしてOLは男性に言い放つ。

「こんな女と浮気しただけでなく、生でやったわけ!」

どうやら浮気相手の女性が妊娠したようだ。

ふと思った。浮気相手の女性は、安めぐみに似た、
かわいい女の子なんで、そんな女性の甘い誘いがあると
男はコロりとやられるのだろうなぁ。

 アイデアの時点では著作物でないため、著作権法は適応されない。
 文章や映像などの方法で表現された時、著作権が発生するのだ。

 もし、アイデア段階で、映画「阪急電車」を参考にしても

 問題にはならない

 のだ (^^)

映画「阪急電車」の予告(Youtube)

 だが、私が映画監督になって映画「阪急今津線」を作成した際
映画「阪急電車」と表現の方が似ていると

 映画「阪急電車」の模倣なので著作権侵害!

 と言われる場合がある。

 どの程度の類似性があるかで著作権侵害かどうかが争われる。
 この辺りの判断は、難しいと思う。人の主観に大きく左右されるからだ。
 もし、裁判になった場合は、裁判所の判断になってしまうのだ。

阪急西宮北口駅構内
阪急西宮北口駅
映画「阪急電車」の舞台になった阪急今津線。
映画になったのは西宮北口から宝塚までの7.7Kmだ。
この車両は映画にも登場する3000系だ。

映画化されたため、この角度から撮影する人が出現しだした。

10分に1本のダイヤの中、撮影のために特別列車を走らせただけに
すごいとしか言いようがないのだ。

 そして映画によく登場する小林駅だ。

阪急小林駅構内
阪急小林駅
「小林」と書いて「おばやし」と読む。
駅構内には、燕の巣があったり、駅付近には
美味しいケーキ屋の「プリエ」や、映画にも出てくる
イズミヤがある。

他にも小林駅の隣りには「仁川駅」がある。
決して「インチョン」ではない。「にがわ」だ。
阪神競馬場のある所だ。

著作物と工業製品、発明の違い

 同じ「表現」であっても、工業デザインなどは、著作物に含まれない。  でも、無断で真似したら、訴えられる。  発明も著作物に含まれない。  でも、無断で真似したら、訴えられる。  工業デザイン、ファッションデザインの場合は  意匠権  発明の場合は  実用新案権、特許権  で守られているのだ。    実は私は・・・  意匠権を知らなかったのらー (^^;;  なので、工業デザインを真似した場合、訴えられる事は知っていたが どの手続きで訴訟が行なえるのかまでは、知らなかった。  なので、今回の勉強でスッキリしたのだ (^^)  商標の場合は、商標権がある。  著作権、意匠権、特許権の3つがあるが、それぞれの違いを 表にしてみた。
それぞれの違い
著作権 登録の義務なし 文化の発展が目的
意匠権 登録制 産業の発展が目的
特許権 登録制 産業の発展が目的

 頭の中が整理できた。

複製権

 本には思いもよらない事が書いてあった。  会社では新聞の切り抜きができへん!  会議資料のために、無断で新聞紙の切り抜きをコピーして使うのは 複製権侵害になるのだ。  確かに、会社で使うと営利目的になる。  こんな所にまで著作権の問題が及ぶとは想像していなかった。  でも、私的使用目的なら問題ないのだ。  家庭内で使う分にも問題ないので、子供の教育資料などにも使える。  業界紙の切り抜きをホームページに載せた場合の問題点としては  複製権だけでなく、公衆送信権の侵害  も出てくるのだ。  公衆送信権という権利があるとは知らなかった。  そのため、下手に素人感覚で判断すると恐い事を実感した。

上映権・演奏権

 喫茶店など、店内で音楽CDなどを流すには・・・  許諾が必要!    なのだ。  知らなかった (^^;;  次の理由からだという。
喫茶店や雑貨屋の店内で音楽CDを流す場合
許諾が必要な理由
店内で音楽を流す目的は、お客さんに気分良く店内で
過ごしてもらうためなので、直接的な営利目的ではなくても
間接的に営利目的になるという。
そのため、許諾が必要というわけなのだ。

 キチンとお金を払って音楽CDを購入しても、喫茶店などの
店内で流すと、営利目的とみなされるため・・・

 余分にカネがかかる・・・

 なのだ。
 JASRACのカネを毟り取る仕組みではないかと思ってしまう (--;;

ビートルズ・ハーモニカ演奏逮捕事件
JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)といえば
音楽使用者・利用者に対してヤクザまがいの恐喝で上納金を巻き上げたり
音楽家に対して正当なお金を払わず、中間搾取する団体だ。
しかも、文部科学省・文化庁の天下り先になっている腐った組織だ。

2006年、東京練馬区でスナック経営をしていた人が
店内でビートルズの曲をハーモニカで生演奏していたため
著作権違法で逮捕されたというのだ。

再三に渡って注意をしたが、改善しなかったため、逮捕になったという。
著作権法の観点では、営利目的となるのだが、JASRACの行為は
むちゃくちゃだ。

音楽は文化であり、みんなで楽しむ物だ。
スナックでハーモニカを吹いて、みんなで楽しむ程度だ。
ビートルズのCD販売の邪魔をしたわけでもないのだ。
むしろハーモニカを聞いた客が「ビートルズ、ええ曲やん」で
CDが売れるかもしれないのだ

金儲けと、見せしめのためのJASRACの私権の濫用なのだ。

仮りに、私が居酒屋の店主をしていて、阪神が勝ったから
六甲おろしを熱唱したり、楽器で演奏したら、歌詞(著作物)の
営利目的利用という事で、JASRACに上納金を納めないと
著作権侵害とされる。JASRACの恐喝と戦おうとして
上納金を納めない場合は、逮捕される危険があるのだ。

マスコミは、JASRACの横暴を、ほとんど取り上げない。
JASRACを批判すれば、テレビなどの音楽を流す際に
JASRACに使用の申請などが必要な事から、嫌がらせを恐れ
JASRACの横暴を許している形になっている。
マスコミの腰抜けさにも問題がある。


公の伝達権

 音楽CDを喫茶店で流す場合は、許諾が必要なら・・・  家電量販店で展示しているテレビを使って  番組を見せるのに許諾が必要なのか?  と思ってしまう。  家電量販店へ行くと、展示しているテレビを使って 野球中継の放送を流していたりする。  阪神戦をやっていたら、思わず立ち止まって応援したくなる。  だが、店内でテレビやラジオを流すには許諾は不要なのだ。  テレビやラジオの場合、不特定多数の人向けに放送しているため 現在、放送中の番組を流す事については、許諾が不要なのだ。  でも、以下の場合は、許諾が必要になる。
許諾が必要な場合
(1) 特別のスクリーンなどを使って上映する場合
(2) 録画した物を流す場合

 なので、もし、喫茶店や雑貨店などで音楽を流したい場合は

 有線放送を使えば良い (^^)

 なのだ。


パソコンと著作権

 家庭でもパソコンを使うのが当たり前になっている昨今 著作権に関しても問題が起こっているのだ。  本を読んでいくと日常生活に関する内容も書いていた。

音楽CD、映像DVDの複製について

 音楽CDや映像DVDを簡単にレンタルビデオ屋から借りる事ができる。  パソコンを使えば、デジタルのまま複製が簡単にできる。  無断で複製して良いのかが問題になるのだが・・・  レンタルビデオ屋で借りたCDやDVDを  私的使用目的で複製しても違法にならない!!  なのだ。  これを知って安心した (^^)  過去にレンタルビデオ屋で借りたDVDを複製して、そのデータを 自宅のパソコンに置いているからだ。  私的使用目的なら問題ないという。  つまり、自分の楽しみの範囲なら自由に複製できるため レンタルビデオ屋で、18禁の暖簾をくぐった先の桃色の世界で  大人のDVDを借りまくって複製しても良い  なのだ (^^)  ところで、近年では厄介な物がでてきた。  それは・・・  コピーガード  なのだ。  インターネット上には、コピーガードを外す怪しげな物がある。  私的使用目的のための複製なら自由なので、コピーガードを外すのも 問題なさそうに思えるのだが・・・  コピーガードを外すのは私的使用目的でも違法  なのだ。  世の中、甘くないのだ (--;;  桃色の世界の大人のDVDを大量にレンタルビデオ屋から借りてきて 複製を考えていた男性諸君!  コピーガードを外すのは違法なので注意しましょう (^^)  音楽CDでもプロテクトを外すのも、私的使用目的でも著作権に触れるのだ。

私的録画録音補償制度

 テレビ番組をビデオに録画しても問題はない。  レンタルビデオ屋で借りた音楽CDやDVDを私的目的で 複製しても問題にならない。  しかもデジタル技術が進んだため、録音・録画の際の 品質の劣化がない状態で、複製できるのだ。  そのため、みんながみんな・・・  どんどん複製してしまえー!  だと、著作物が売れなくなり、著作権者の実入りがなくなる 問題で出てくるのではないかと思ったりする。  それを少しでも防ぐために採り入れられた制度として  私的録画録音補償制度  があるのだ。  そのため、CD/DVDといった媒体、DVDレコーダーといっ た録画装置の代金に・・・  補償金が含まれている!  のだ。  本を読むまで、そんな事は知らなかった (^^;;  本を読んだ時  著作権者の利益を守るための制度か!  と納得してしまった。  補償金の分配などに関する事は以下の団体が行なっている。  録音と録画は別々の組織が行なっているのだ。
録音・録画の補償金を扱う団体
録音 私的録音補償金管理協会(SARAH)
録画 私的録画補償金管理協会(SARHV)

 この2つの団体が補償金の管理・分配を行なっているのだ。


 賢くなったと思い込んでしまったが、だが、調べていくと
本の内容の鵜呑みは恐いと思った。

 私的録音録画補償制度のため、本来なら支払い不要な費用を

 不当に払わされている場合がある!

 のだ。

私的録音録画補償制度の問題点
私的録音録画補償制度は著作権者の利益を守るという趣旨だが
本来なら支払い不要な場合でも、不当に払わされている問題がある。

例えば、癒しの音という事で鳥や滝の音の録音や
子供の運動会の映像や、同窓会でバカ騒ぎしている映像など
著作権者に費用を払わなくても良い録音・録画などにも、
録音・録画媒体媒体購入の際、補償金という余分に費用を払わされてたりしている。

もちろん、著作物の複製以外の目的に使った場合は
録音の場合はSARAH(私的録音補償金管理協会)に対して
録画の場合はSARHV(私的録画補償金管理協会)に対して
申請すれば返還してもらえる。
だが、申請者が証明しないといけないため手間がかかる上、返還金が僅かなのだ。
僅か数円のために返還手続きを行なうのが面倒なので、泣き寝入り(?)を
選ばざるえないのだ。でも、8円返還してもらった例もあるのも事実だ。

私的録画補償金、初の返還額は8円(ITmedia)

でも、返還するために、80円の封筒で申請するため申請者は赤字だし
2つの協会は、銀行振り込みで返還だと振込み手数料もかかるので
もし、国民が一斉に返還請求しだしたら、どうするのだと思ったりする。

そして、音楽家の中でも批判の声もある。
ITmedia +D LifeStyle:「補償金もDRMも必要ない」(音楽家 平沢進氏の提言)

 さてさて、私的録音録画補償制度を調べみる事にした。
 お金の流れは以下の通りなのだ。

私的録音録画補償制度でのお金の流れ
(録音のSARAHの場合)
私的録音録画補償制度でのお金の流れ
媒体や録音・録画装置に補償金が含まれているため
補償金回収を行なっているのはメーカーになっている。
メーカーはSARAH(私的録音補償金管理協会)に補償金を払っている。

この協会なのだが、補償金管理のために出来た団体で、文部科学省の
天下り団体になっているのだ。

そこから各種団体にお金が渡り、著作権者に支払われるのだが
どういう規定で著作権者に支払われているのかが不透明になっている。

 私的録画補償金管理協会も文部科学省の天下り先で
お金の流れが不透明になっていたりする。(図は省略します)


 さて、補償金の回収を行なっているメーカなのだが
補償金制度については反対の立場なのだ。

 DRMと補償金制度だと二重取りになる

 と指摘しているのだ。

 だが、思った。

 DRMって何やねん!

 そこで調べてみる事にした。

DRMとは何か
DRMとは「Digital Rights Management」(デジタル著作物管理)の略で
デジタル著作物の制御や制限を行なう技術の事だ。
具体的には、複製の回数の制限や防止などが挙げられる。

これを使えば、著作物の複製ができなくなったり
複製制限を設ける事ができ、著作物の保護が可能になるのだ。

 メーカの主張は、DRMさえしてしまえば、著作権は保護されるし
補償金を徴収した場合、二重取りになると指摘しているのだ。


 ところで、メーカーが反対の立場を取る理由は、一見すると
利用者の味方になっているように思えるが、本音は別の所にある。

私的録音録画補償制度の賛否について
私的録音録画補償制度の賛否について
文部科学省やSARAH、SARHVは「権利者の利益を守るため」と主張し
メーカは「2重取り」と主張し、真っ向から対立している。

だが、この言い分は、双方とも建前であって本音は別の所にある。
文部科学省は天下りの確保。SARAH、SARHVは己の存在を守るためだ。

メーカが反対する理由は、DRMの開発で多額の投資をしている上
補償金の徴収を行なえば、徴収するための費用もかかる。
経費削減を行ないたいため、補償金回収を拒否したいのだ。

実際、デジタル専用レコーダについて東芝が補償金支払いを拒否し
SARHVから訴えられる事態が発生している。でも、見事に東芝が勝った。
デジタル専用レコーダーは補償金の対象か SARVH・東芝訴訟、判決言い渡しへ(ITmedia)

 本では書かれていない双方の本音。
 見ていると面白いのだが

 利用者不在の議論になっとるやん!

 も忘れてはならないだろう。

海賊版のCD/DVDの所有と視聴

 音楽CDや映像DVDの海賊版がある。  それの所有と視聴についてだが・・・  自分の楽しみで所有と視聴は問題なし  なのだ。  拍子抜けの感じがしたのだが、次の事も問題ないという。  友人に無償でプレゼント!  驚きなのだが、営利目的でない限り、所有する場合も 人にプレゼントする場合も問題ないのだ。  でも、海賊版を複製してプレゼントするのは・・・  譲渡権の侵害!  なのだ。
海外で購入した海賊版の持ち込みについて
海賊版を所有する分には違法にならないのだが、
海外で購入した物を日本国内に持ち込む場合は、関税法でひっかかる。

海外で入手した物を日本に持ち込む場合、例え、個人であっても
「輸入」になるため、関税法が適用される。

もし、日本入国の際の税関検査で、海賊版が見つかったりすると
税関職員によって没収される。
知的財産権ホームページ/税関の取締り

なので、海賊版を手に入れる場合は、国内で入手するしかないが
無償で海賊版をくれる場所なんぞない。違法販売くらいだ。

誰の手も汚さずに海賊版を入手するのはなさそうだ。



「引用」と「転載」の違い

 引用と転載。  一体、何が違うねん!!  なのだ。  改めて、日常、使われている言葉の意味を、よく理解していない事がわかった。  そこで本に書いている内容や、ネットで調べてみる事にした。
引用と転載の違い
引用 意見や見解などを書く時に、その根拠として
他者の意見を使う場合。
あくまでも「副」の存在なのだ。
許諾は不要
転載 そのまま、そっくり使う場合。
「主」として使う場合だ。
許諾は必要

 引用が許諾不要とは知らへんかった!

 正直な事を書きますと、結構、システム奮闘記は本の内容の引用がある。
 間違いではない事を示すために、本の題名とページを書いて
引用していたのだ。

 個人のサイトで無償公開なので、黙認してくれるだろうという
素人発想でいたけど、引用の場合、許諾不要なので
これからは安心して引用ができる (^^)


 引用が許諾不要な理由。
 自分の主張の根拠を示す際、他者の意見や著作物が
必要になる場合があるが、そのために、全て著作者に
許諾をとっていたのでは、手間がかかる。
 そのため、許諾不要にしているというのだ。


 ただし、引用を行なう際は、以下の点を注意する必要がある。

引用の際の注意点
(1) 引用部分と、その他をはっきり区別させる事
(2) 出所(出典元)を明記する事
(3) 出典元の著作者の人格を傷つけない
名誉毀損になるのを防止するため

著作人格権と同一性保持権

 本を読んでいると「著作人格権」が出てきた。  著作人格権とは何やねん?  どんどん知らない用語が出てくる。  という事で本を読む事にした。  著作権と著作人格権との違いを表にした。
著作権と著作人格権の違い
著作権 経済的な側面での財産権の一種

譲渡可能
著作人格権 著作者の思い入れや表現といった
著作者の人格面を保護するための権利

譲渡不可能

 著作人格権は以下の3種類だという。

著作人格権の3つの権利
公表権 著作物の公表の有無を決める権利。
勝手に発表されないため
氏名表示権 実名かペンネームか、匿名かを決める権利。
実名だと具合の悪い人はペンネームや匿名が
認められているのだ。
同一性保持権 無断で著作物が改変されないための権利。

 同一性保持権。
 無断で著作物が改変されない権利なのだが、具体的には
以下の事なのだ。

私が撮影した写真
神戸の夜景
神戸の夜景だ。デートコースには最適の場所で
カップルを見かける場所でもある。

 写真には著作権がある。著作権者と著作人格権者は私になる。

 神戸のロマンチックな写真を撮るぞ!

 という思い入れがある。

 例え、著作権は譲渡しても、著作人格権は譲渡できない上

 思い入れは変わらないのだ

 なので、誰かが無断で以下の事をすれば、私の思い入れは傷つけられるのだ。

もし、誰かが無断で以下の事をすると・・・
神戸の夜景の改変
神戸のロマンチックな夜景が、誰かが勝手に写真を合成して
神戸の夜空にタイヤキが泳いでいたら
写真がお笑いの部類になってしまう。

なので「私の写真が侮辱された! ケシカラン!」という事で
著作人格権侵害を主張できるのだ。


著作権とIT社会

 著作権の本を読み進めていくと、思いもしなかった事で 著作権の話が出てくる。  IT技術と著作権との関連の話なのだ。

外注したソフトウェアの著作権

 ソフトウェアを外注で製作した場合、著作権はどこの帰属するのか?  本に答えが載っていた。  とくに取り決めがないと外注先!  なのだ。  もし、ソフトの著作権が外注先にあった場合、以下の問題が 生じる可能性があるのだ。  自前でプログラムの改造ができない!  無断でのプログラムの改造は著作人格権の侵害なのだ。  自社で使っているソフトを無断で改造できないという状態に陥る。
外注先に作ってもらったソフトが改造できない
外注先に作ってもらったソフトが改造できない
ソフトの著作権が外注先にあると、発注者側が改造したくても
無断で改造を行なう事はできない。

発注側が「うちが買ったから、うちの自由」が通用しないのだ。


 そして、その外注先がいい加減だからといって
無断で、他社にプログラムの改良を依頼すると、著作人格権だけでなく

 複製権の侵害! (--;;

 なのだ。

別の外注先に無断で改造を依頼すると
別の外注先に無断で改造を依頼すると発生する問題
著作権がソフトの製作会社のままで、無断で、別の外注先に
ソフトの改造を依頼したら、著作人格権侵害だけでなく
ソフトの複製を送った場合は、複製権の侵害にもなる。

ここでも発注側が「うちが買ったから、うちの自由」が通用しないのだ。

 うちの会社、AS400で基幹業務を行なっている。
 私が入社する、だいぶ前に、ITベンダーのJ社に基幹システムとして
RPGでプログラムを作ってもらっているのだ。
 それを上司や私が触っていたりする。上司に尋ねた。

上司との会話
AS400のプログラムの著作権はどっちにありますか?
上司 考えた事、あらへんなぁ。
当時の契約書でも交わした覚えも、あらへんし
契約で著作権の帰属先を決めていない場合は
業者だから、著作権はJ社になりますね。
上司 でも、AS400のシステムを導入してから改造しているけど
何も言われていないから問題ないだろう。
それにJ社も「そっちでやって」という感じだから
暗黙の了解ができているし

 何やら安易な発想の会話だと思われるのだが、実はそうではないのだ。
 著作権は私権なので・・・

 著作権者が訴えなければ何も問題ないのだ!

 それにRPGでプログラム作成なので、ユーザー側でも自由に触れるような
前提になっている上、外注先が「問題ない」と思えば、問題ないのだ。

 著作権と私権については後述しています。

外注業者から著作権を譲渡してもらうには

 ところで著作権を外注業者から譲渡してもらい、なおかつ 著作人格権を発動できないようにするにはどうすれば良いのか?  著作権は注文者に帰属する  と書けば良いと思いがちだが、それでは不十分だという。  でも、契約書の書き方が本に書いてあった。
著作権譲渡のための文言(P155より引用)
外注先は、注文者に対し、本著作物に関するすべての著作権
(著作権法第27条および28条に規定する権利を含む)を譲渡する。

 そして著作人格権を封じ込める文言だ。

著作人格権を封じ込める文言(P155より引用)
外注先は、本著作物について、注文者および注文者から
正当に権利を取得した第三者に対して、著作人格権を行使しない。


 この話を読んだ後、外注するためのガイドラインを作成した。

 著作権の譲渡は必ず行なう!

 著作人格権を封じ込め、しかもソースコードは提出させる内容にした。

 でも、外注する際の契約書に、双方の攻めぎあいが予想できる。

 譲渡して欲しいうちと、譲渡したくない外注先

 の構図になるからだ。

本当は「なぁなぁ」が良いかも
著作権の事を言い出す中小のユーザー企業は、そんなにいないだろう。
それに著作権の事を、うるさく言う業者も少ないと思う。
寝た子を起こさないのと同様、著作権の事を明文化するよりも
なぁなぁにして、業者には普通に「ソースコードを頂戴。
うちで改造するから」と言って、なぁなぁで気楽にやっていた方が
案外、平和かもしれない。

著作権を持ち出す事で、業者も構えてしまって、かえって話が
ややこしくなる事が考えられる。
なので、下手に著作権の話を持ち出さないのが吉かもしれない。

複製権の話

 複製権といえば、ソフトのコピーを連想しそうなのだが それ以外の所でも議論になっていたり、問題になっていた所があった。  こんな事を知った。  検索サイトのサーバーは国外にあった!  知っている人は知っている話なのだが、私は全く知らなかった。  googleやYahooならわかるが、NTT系のGooまでが検索サーバーが 海外にあったとは驚きだった。  2010年1月に、改正著作権法が施行されるまで、以下のような事で 日本国内に検索サイトのサーバーを設置する事ができなかった。
改正著作権施行前は、こんな問題があった
改正著作権施行前は、国内に検索サイトのサーバーを設置すると、こんな問題があった
検索サイトは、検索ロボットを使って自動的に、不特定多数の
ホームページの情報を集めて、サーバー上のハードディスクに保存したり
データの加工などを行なったりしている。

ホームページの中身に著作物がある場合、無断で著作物を集めて
複製したり加工を行なっているため、複製権侵害と
著作人格権の侵害が指摘されていた。

そのため、どの会社も日本で検索サイトのサーバーを置く事に対して
及び腰になり、海外に設置する事になった。


(個人情報海外流出問題)

ところで海外に検索サーバーがあると、日本人の個人情報が
海外に流出している事を意味する。場合によっては、
海外の得体の知れぬ団体に流出し、利用される可能性もある事から
海外に検索サーバーを置く事に対する問題も出ているのだ。

 だが、これで手放しで日本版グーグルができると喜べる状況ではない。
 まだ乗り越えなければならない問題があるからだ。

個人情報保護法の壁
個人情報保護法との関係が残っている。
ホームページ上には、個人を特定できる情報が沢山ある。
もし、5000件を越える個人情報が集まれば、法が適用されてしまうため
ここでも及び腰になるのは、予想できる。

 次の話も著作権を侵害していたといえる。

 Squidでプロキシーを構築した場合

 キャッシュは著作物の複製なので無断複製

 となるのだ。

プロキシーサーバーが著作権侵害!!
プロキシーサーバーのハードディスクに複製されるのが問題だった
プロキシーサーバーは、回線が遅い時代に、回線占有防止のために
ホームページのデータを蓄積し、何度も同じにサイトに接続して
データを取得しないようにした技術だ。

だが、ホームページのデータには著作物が含まれ、それが無断で
プロキシーサーバーのハードディスクに複製されるため
複製権侵害になるのではと言われていた。

 Linuxサーバーを導入した2000年、インターネット回線が遅かったため
回線占有を防止するために、プロキシーサーバーを構築するのは普通だった。

 私自身も勤務先でSquidを使ってプロキシーサーバーを構築した。
 詳しくは「システム奮闘記:その2」(Linuxでサーバー構築)をご覧ください。

 なので、今頃になって・・・

 無邪気にプロキシーを構築していた!

 に気がついたのだった (^^;;;

 他にもプロキシーサーバーを使わなくても、ホームページの
著作物が、パソコン内のキャッシュに複製されるのも複製権侵害と
言われていたりしたのだ。

パソコン上のキャッシュも問題に!!
パソコン上のキャッシュも問題になっていた
プロキシーサーバーがない場合でも、回線占有を防止したり
表示を素早くするため、パソコン上にキャッシュを置く事で
それで同じサイトを、頻繁に接続しなくて良くしていたが
これも複製権侵害になるのではと言われていた。

 こんな所まで著作権で議論になっていたとは思いもしなかった。

 でも、2009年に改正された著作権法では

 キャッシュは合法!

 になったので、安心できる (^^)

フェアユースは必要なのか?

 本を読み進めると  フェアーユース(公正な使用)  が出てきた。  包括的に権利者の権利を制限する物  だという。
フェアユースとは
アメリカの著作権法に定められている物で、著作者の許諾を得ずに
著作物を利用しても、利用方法の目的や性質によって
公正な使用(フェアユース)と認められる場合には、
著作権の侵害にならないという法律だ。

ここの事例ではなく、包括的に著作権利者の権利の
制限を行なっているのだ。

 日本版フェアユースが出てくる背景には以下の事があるという。

 新しい技術やビジネスモデルができて、それが権利者を侵害しなくても
現行の法律に従えば、形式的に権利の侵害になる。

 具体例として、日本版グーグルにしても、キャッシュの問題でも
著作権者の利益を損ねる事をしていなくても
形式的に著作権法の侵害になるため、新しいビジネスが日本で行ないにくい
もしくは行なえないという事で・・・

 技術や産業の発展を阻害する問題がある!

 というわけだ。


 たまたまフェアユースの事を調べていて、火山学者の
早川由紀夫先生のブログを発見した。
 早川由紀夫の火山ブログ(2011/5/26)

 断片的な内容なので、詳しい事はわからないが、火山関連資料として
テレビで報道された物を、学術的、教育的資料としてyoutubeに掲載すると
第三者が著作権侵害という事で、削除されたというのだ。
 引用なのか転載なのか。引用であれば、著作権上、問題はないし
転載であっても、権利者の権利を侵害する物とも思えない。

 フェアユースがないため、著作権者の利益に損なっていない場合でも
著作権侵害とみなされるため、学術的、教育面の分野の
活動の妨げになるという趣旨だろう。


 もちろん、フェアユースが導入されると、個々の解釈によって
著作権の侵害が増えるのではないかという懸念もある。


 本やフェアユースの話を書いているサイトを見て私は思った。

 日本の発展のためにはフェアユースは必要!

 そして、法律面で日本は立ち遅れていると思った。


 本の内容でも、フェアユースがいかにも良い物と書いていたため
すっかりフェアユースは導入すべき物だと思った。
 そして、日本の著作権法は遅れているため、産業育成を阻害し
国の発展につながらないという論調で終わろうと思った。


 だが、事態は急変する。
 何気なく、その話をmixiの日記に書いた所、予想もしないコメントを頂いた。

 日本は著作権法の先進国!

 そして

 日本人にフェアユースは向かない!

 だった。

自由主義・民主主義と法律

 なぜ、日本が著作権法の先進国なのか。そしてフェアユースが 日本人に向いていないのか。  それを紐解くためには、自由主義・民主主義の話を理解する必要があった。  私の日記のコメントに  著作権は「自由と権利と民主主義に関わる学習の教科書」  と書いてくださった。  そこで著作権といえば、岡本薫さんを連想する。  文化庁で著作権課長をされた著作権の専門家だ。  現在は政策研究大学院大学の教授だ。と書きつつ、面識はないけど (^^)  岡本薫さんの本を読んでみる事にした。    「世間さまが許さない!」(岡本薫:ちくま新書)  メチャクチャ面白い本だ。  本の内容は以下の通りだ。
「世間さまが許さない!」の内容
欧州で生まれた自由主義・民主主義は内心(道徳・モラル)の
多様が前提で、行動をルール(法律や規則)で制御する考え方だ。

だが、日本では同質性の信仰により、モラル(善悪)も
皆同じという前提で、行動の制御をモラル優先で行なっている。
しかし、日本でも多様化は進んでいる上、時代によってモラルも
変化している。それに気づかず、お互いがモラルを持ち出すため
行き違いやモラルの衝突が生じ、混同している現状を説明している。

ルールとモラルが異なる場合は、モラル優先になるため
ルールを守っているのに批判されたり、ルールを破っているのに
称賛されるという事態も起こっている事を指摘している。
法治国家と言いがたい状態になっている問題がある。

この本では日本に向いたシステムとして「世間さま制」を提唱し
その可能性についても触れている。

 さてさて、自由主義・民主主義と著作権の話に結びつける前に
本を読んでいった過程を書いていきます。

モラル(道徳・善悪)とルール(規則・法律)について

 物事の判断を行なう際、善悪で判断する事は多々あると思う。  法律上、問題なくても、善悪の判断で・・・  これはアカンやろ!  と思う事もある。  特に、共感を呼ぶ物なら一緒になって  ケシカラン!! 断じて許せん!!  と言って、正義に味方になった気分になる (^^)  だが、それができるのも・・・  日本人の同質性が前提!  だという (--;;  頭の中では「個々の考え方は違う」は知っていても、 いざ善悪の判断になると「みんな同じだろう」や 「自分の善は他者にも通じる」と無意識に思い込んでいる。  そして共感してもらえる事も多いので、ますます・・・  自分の善が通じる!  と勘違いしやすいのだ (--;;  ところで欧州で生まれた自由主義・民主主義。  欧州といっても、ゲルマン民族、スラブ系民族、ラテン系がいる。  価値観も考え方も異なる。もちろん、善悪の基準(モラル)は・・・  個々によって違うのらー!!  なのだ。  昔から欧州は血で塗られた争いがあった。  教科書で「100年戦争」が出てくるが、まさに争いが絶えなかった。  その長い争いの歴史の中で、争う事の無意味さに気づいたのか 疲れ果てたのか、わからないが、行き着いた先は・・・  お互いの考え方は違うが、殺し合うのは止めよう!  なのだ。  そこで自由主義・民主主義の基本となる考え方ができてきたのだ。
自由主義・民主主義の基本
(1) 考え方、価値感は多様であり、善悪は相対的
(2) 意見が異なる相手は、敵ではあるが悪ではない
(3) 他者を尊重
多様性が前提で、意見が異なっても悪ではない以上、
頭から否定や攻撃をせず、他者の存在を尊重すべし。

 自由主義とは「権威や国家からの自由」という考え方なのだ。
 つまり国家の制約を受ける事なく、自分の意思で行動ができる事だ。

 その最低限の条件として・・・

 思想や良心の自由の保証!

 がある。

 なので、いかなる考え方や価値観を持つのも自由な上、
どのような善悪の基準(モラル)を持つのも自由なのだ。

 日本の場合、憲法19条で保証されている。
 ただし「内心の自由の保証」であって、外に影響する場合は
制限がかかる場合があるのだ。

自由の「保証」が大事
憲法19条は「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」だ
つまり自由の保証を明記しているのだ。

道を歩いていて、胸の大きい女の子を見て、何カップか想像したり
スケベな方向へ妄想するのも自由な上、何人も侵す事ができないのだ。
ただし、口に出して「あの子はDカップだ!」と言うと
冷たい視線や「セクハラ!」なんて言わる事は覚悟しなければならない。
憲法19条は内心の自由の保証であって、外に出る場合は制限がかかったり
制限がなくても、どんな反応が出ても「あなたの責任」となる。


中国の憲法35条に以下の条文がある。(参考:恋する中国)
「中華人民共和国公民は、言論、出版、集会、結社、行進及び示威の自由を有する。」

中国の憲法で、言論や出版などの自由を明記している。
でも、言論弾圧や出版の検閲、集会を行なおうと思ったら公安に逮捕される危険がある。

「中国政府は法治国家でない事を証明しているぞ」と中国政府の批判をしたくなるが
条文をよく見ると「自由」と書いているが、どこにも「保証」は書いていない。
つまり「中国公民は言論や出版を自由に行なっても良いが、何が起こっても知らないよ」
という意味合いに受け取れる。
公安に逮捕されたり、監獄にぶち込まれたりしても「あなたの責任」というわけだ。

 自由主義の世界では、いかなる善悪の判断基準(モラル)を持つのは自由。
 それを言い替えると・・・

 絶対的な正義、絶対的な善は存在しない!

 なのだ。

本当は欧州にも絶対的な善悪は存在する
欧州にも絶対的な善悪の判断基準は存在する。
それはキリスト教の価値観だ。
それは岡本薫さんの「世間さまが許さない!」という本で
指摘している。価値観は多様という前提であっても
実はキリスト教の価値観の上で、多様性にすぎないというのだ。

 善悪は相対的な物となれば、善悪での判断はできなくなる。
 そこで物事の判断基準として

 みんなで決めた規則・法律(ルール)を用いる

 という事につながっていく。


 規則(ルール)を決める際、話し合いをしながら以下の作業が行なわれる。

規則(ルール)の設定する際の作業
(1) やらなければならない事を決める。
(2) やってはいけない事を決める。
(3) 規則(ルール)に書いていない事は、各人の自由

 話し合いを行なう際に大事になってくるのは・・・

 他者の尊重!

 なのだ。

 仲良くするという意味ではなく、敵対していても悪でないため

 相手を頭から否定しない!

 という姿勢なのだ。


 そして話し合いによって、お互いが納得できる規則(ルール)が決まる。

 もし、みんなで決めた規則に違反をすれば、規則に基づいて
罰せられるというのだ。
 決して、個人の善悪の判断では行なわないのだ。

 国家で例えると

 裁判所が判断機関!

 なのだ。


 ここで1つ、ハッと気づいた事があった。

 法律に書かれていない事は各人の自由!

 という事だ。
 自由主義・民主主義の事を考える前なら
いくら法律に書かれていないからといっても

 限度があるやろ! 常識だろう!

 と思っていた。
 だが、今回の事で以下の事に気づいた。

 規則・法律(ルール)に書かれていない事は・・・

 みんなで「自由」と決めた事なのだ!

 だから自由主義・民主主義の世界では、規則・法律(ルール)に
書かれていない事は、何を行なおうが本人の自由なのだ。
 そして、その行動には責任を伴う。

 もし、問題が発生すれば話し合って、規則化(ルール)すれば良いのだ。

日本人と規則(ルール)設定
日本人の場合、規則(ルール)を決めずに、お互い仲良くしましょうで
話を進めてしまう事が多い。
お互いが同じ善悪の基準(モラル)を持っているという前提のため
「言わなくても、わかるだろう」という感覚なのだ。

だが、実際には、個々が持っている善悪の基準(モラル)は異なるため
揉めごとが発生する。そんな時、規則や罰則が設定が無い場合
収拾がつかなくなる事態に発展する事も起こり得るのだ。

それだけでなく、規則を決める際に、全員に対して
「お互いの考えや立場が異なるから、あなたの要求を出して」
と言っても、日本の美徳(?)で「要求を出す=わがまま」という
誤った認識を持っているため、要求を出さない場合も多々あるだろう。

そのため、後になって文句を言ってくる場合もある。
「察して当然」という以心伝心のテレパシー信仰と
謙譲の美徳を履き違えている事で生じる問題なのだ。


自由主義・民主主義の話を著作権に当てはめてみる

著作権が「自由と権利と民主主義に関わる学習の教科書」と言われているが 非常にわかりやすい形で、置き換える事が可能だというのがかわる。  ようやく自由主義・民主主義における基本的な考え方が見えてきた所で 著作権と、どういう関係にあるのか見てみる事にした。  著作権者、著作隣接権者にとっての善(モラル)は  著作物を保護し、しっかり儲かる状態  なのだ。  でも、著作物の使用者・利用者によっては  できる限り自由に使いたい!  なのだ。  以下のような感じで、まとめてみた。
権利者と使用者・利用者では大きく異なるモラル(善)
権利者 少しでも権利を保護して儲かる仕組みが必要。
そうでないと、著作者が生活できない上、育つ土壌もできない。
文化の発展には権利者の保護が必要だ。
利用者
使用者
文化の発展のため、誰でも楽しめる仕組みが必要だ。
様々な文化に触れる事で、文化を楽しむだけでなく
文化の創出するための土台になり、更なる発展につながる。
そのため、著作物を、できるだけ自由に使える必要がある。

 モラル(善)が真っ向から対立する事になる。
 しかも、どちらの言う事も間違いではない。

 自由主義・民主主義の世界では善悪の基準(モラル)は内心なので

 自由なのだ!

 でも、お互いが・・・

 俺が正義だ! お前は悪だ!

 と主張し合うと、収拾がつかなくなる。


 そこで自由主義・民主主義の世界では、行動を制御するために
善悪での判断(モラル)ではなく、規則・法律(ルール)を用いるのだ。

 規則(ルール)を決める際の基本は、相手を尊重する事だ。
 尊重といっても仲良くする必要はない。相手は「敵」ではあるが
「悪」ではないので、相手を頭から否定してはいけないという事だ。

 そして、それぞれの立場や要求を出し合って、話し合いをしながら
妥協点を見つけていきながら、以下の事を決めるのだ。

規則(ルール)の設定する際の作業
(1) やらなければならない事を決める。
(2) やってはいけない事を決める。
(3) 規則(ルール)に書いていない事は、各人の自由

 著作権の場合、文部科学省や文化庁などの委員会で
双方の立場の人によって議論が行なわれる。
 そして、最終的に、立法府の国会にかけられ、議員による議論の上
可決・成立するのだ。

 ところで著作権法が、どんな規則になっているのか
簡単に見てみる事にした。複製権のみ挙げてみる。

著作権法(複製権について)
(1) 著作権者は自由に複製できるが、他者が複製する場合
著作権者の許諾が必要。場合によっては費用を払う必要がある。
(2) 図書館の場合、公共的性質から1人につき1部の複製が
認められている。
営利目的の利用する複製であっても認められている。
(3) 点字翻訳の場合、通常の市場と衝突しない上
文化を広げる意味で、営利・非営利関係なく認められている。
(4) 引用は認められる。
ただし出展元は明確にする必要がある。

 複製権を見た場合、基本的には著作権者の利益を守る法律だが
公共性や文化の発展、著作権者に不利益がない(少ない場合)は
著作権者の複製権に制限がかかる。

 著作物を保護し、自分の利益にしたい著作権者。
 できるかぎり自由に使いたい利用者・使用者。
 その攻めぎ合いの中、生まれた産物なのだ。


 国民全員参加しているわけではないが、形としては
それぞれの立場の代表や、国民の代表(国会議員)によって議論されて
可決・成立すれば、間接的に

 みんなで決めた事!

 になる。

 みんなで決めた事は守る。
 それが自由主義・民主主義の世界での「行動の制御」になるのだ。

アメリカの「I'm sorry法」について
アメリカの場合、交通事故を起こしても、決して加害者は
被害者に対して謝罪しないのが一般的だった。
もし、謝罪したら完全に非を認めた事になり
裁判が不利になるからだ。

医療の世界でも、手術中に患者が亡くなる事はある。
医療ミスもあれば、どんなに手を尽くしても駄目な事もある。
だが、医者は「救えなくて、すまなかった」とは
言わないのが一般的だった。
もし「すまない」と言ったら、完全に非がある事を意味し
裁判に不利になるからだった。

だが、被害者としては謝罪の言葉がない状態だと
かえって怒りや憎悪を増幅させてしまう事がある上
裁判の行方によっては賠償金の上増しの危険も出てくる。

そこで謝罪しても裁判の証拠にしないように
「I'm sorry法」ができたのだ。

日本人の感覚では「謝罪するのが人としての常識だろう」で
善悪の判断(モラル)を持ち出す所だが、それをモラルではなく、
法律(ルール)で決めるのが、なんともアメリカらしいという感じがする。

善悪の基準(モラル)は多様が前提の社会では
「それは常識だろう」は通じない。
そこで「人が素直に謝る姿」を法律で保証したのだ。


私権と公権の違い

 ところどころで「私権」という言葉が出てきた。  正直な事を書きますと、著作権の勉強をする前は・・・  私権って何やねん!  だった。  そりゃ法学部出身ではないし、法学なんて興味もなかったため つまみ食い程度の法律の知識しかない。  そして「私権」と対照的な物として「公権」がある事も知った。  そこで「私権」と「公権」が何なのかを調べてみた。
私権とは何か? 公権とは何か?
私権 私権とは、私法上認められるの権利の総称。
私法とは私人同士の義務や権利などの関係を規律する法律だ。
私法といえば、民法や商法が挙げられる。
民法などで認められた権利を「私権」と呼び、その中には
財産権、人格権、身分権がある。
著作権は財産権の1つになる上、私権という扱いになっている。
公権 公権とは公法上認められる権利の総称。
公法とは国家と他の国家、個人との関係を規律する法律の総称。
憲法、行政法、刑法、国際法などがある。

公権は2つに分けられる。

(1)国・公共団体が個人などに対して持つ
  刑罰権・財政権・警察権などの国家的公権。
(2)国民が国や公共団体に対して持つ自由権
  参政権など個人的公権。

 こんな分類があったとは・・・

 知らへんかった!! (^^;;

 でも、賢くなったと思えば良いのらー!!


 上の分類で「私人」と書いてあるのだが・・・

 自然人と法人の両方の意味!

 なのだ。

「自然人」と「法人」
法律で「人」と出てきても、それが人間限定ではなく
企業・団体などの「法人」も含まれるのだ。ややこしい (--;;

法人は一定の条件を満たしている団体だけに、まさに「法」人なのだ。
法人は、制限はあるものの、権利が与えられているため
自然人と同じような扱いがされるのだ。

法律で「個人」が出てきた場合、個々の自然人という意味だけでなく
「個々の法人」の意味もあると考えたら良いかもしれない。

 ところで私権は私人同士の間の問題になる。
 そのため、私権の侵害があった場合でも、基本的には

 本人が何も言わなければ問題ない!

 のだ。

 私権の侵害があっても、本人からの訴えがない限りあ
すぐには警察や行政は動かないし動けない。
 本人が容認している場合もあるし、容認はしていなくても
訴えるのが手間だから放置している場合もある。

 私権の行使は、本人の自由であり、本人の判断で行なう物だ。


 ただし、踏み込んで調べてみると、例外もあるようだ。
 私権でも親告罪と非親告罪によって対応は異なるのだ。

親告罪と非親告罪の違い
親告罪 本人が告訴しない限り、検察官は、公訴できないため
処罰の対象にはならない。

事件が公になると本人に不利益が生じる場合がある物や
親戚間の問題などに適用されているものだ。

そして犯人を知ってから6ヶ月以内に告訴しないと
無効になっていまう。
非親告罪 本人が被害を訴えなくても、第三者が告発できる上
検察官の判断で公訴できるため
裁判の結果、処罰の対象になる事もある。

刑事訴訟法:第239条で、国家公務員・地方公務員で
職務上、犯罪があると思った場合は、その事実を
申告しなければならないのだ。事実上の告発なのだ

私権の侵害で非親告罪に当たる場合は
仮りに双方の同意があったとして、グルで行なっている
悪事とみなされたら、第三者に告発され、検察官に公訴され
裁判の結果、処罰の対象になる可能性はあるのだ。
(補足) 告訴と告発の違い
告訴 本人が訴える事
告発 第三者が訴える事。

 親告罪と非親告罪。
 こんな用語・・・

 知らへんかった (^^;;

 世の中の仕組みが全くわかっていない私。


 ところで私権を調べると制限がある事も知る。
 そして中学の社会で習った話に行き着く。

 公共の福祉なのらー!!

 懐かしい響きだ。中学の社会(公民)で習った事が
20数年の時を経て、ようやく登場したのだ。

 他にも私権が制限される場合がある。

私権の制限がかかる場合
信義誠実の原則 相手を裏切る行為は信義・誠実に反するので無効となる。
そして、契約後に社会情勢が大幅に変化し
その契約が維持できない場合は契約変更に応じなければならない
権利者が信義に反して、長期間、権利を行使しなかったら
権利の時効になる。
公序良俗
公序良俗に反する契約などは無効になる。

美人を見て「俺とホテルで一晩過ごさない。1000万円あげるから」と
契約関係を結んで、ホテルで一晩過ごして、1000万円あげなくても
契約違反とはならない。売春(援助交際?)を促進するような
公序良俗に反する事は国は認める事はできないからだ。

他にも賭博関係の契約なども違法行為なので無効になる。
物権法定主義 物権(動産・不動産・所有物)は、所有権・占有権といった
法律以外には、勝手に「〜権」という物を作れない。
「契約の自由」の原則はあるものの、法律に定められた権利以外は
勝手に作って行使できないのだ。
権利濫用 本来の目的とは別に権利を行使する事。

判例として昭和10年の宇奈月温泉事件がある。
えらい古い事件だが、悪知恵を働かせてもダメという例だ。

 知らなかった話が、どんどん出てくる。

 でも、法律を全く知らないと困る事もあるだろう。
  なぜなら私は・・・

 牢屋(ローヤー)に入りたくない

 非ローヤー(not Lawyer)なのだ!

 座蒲団全部没収のギャグを飛ばした所で先に進みます。

私権の行使の自由と責任

 さて、私権の勉強をした事で  私権の行使の判断は本人の自由!  という事はハッキリした。  そして、私権の行使の結果は  本人の責任!  になる。  決して、他人の責任にはできないのだ。
私権行使と自己責任
Aさんの土地に、Bさんが勝手に家を立てて住んだとする。
Aさんは自分の土地が不法占拠されたので、私権の行使として
「立ち退き」を主張する事ができる。

立ち退きを強制するために警察沙汰になった時
周囲から「追い出すなんて、かわいそうだ」と言われても
それはAさんの責任になる。

そのため以下の事を考える必要がある。

私権の行使した場合の利益と不利益

私権を行使する際には、判断と覚悟がいるというのだ。
自由って「勝手きまま」ではなく「重い」のだ。

 私権の行使の自由と、結果は全て自己責任。
 ここで自由の扱い方がわからない日本人の問題が出てくる。


 個々に価値観や考え方が異なるのが前提の欧米では

 俺は俺、お前はお前

 が成り立っている。
 そのため周囲の事を気にせず、私権の行使が行いやすい。
 自由主義・民主主義世界なら当然の事なのだ。


 だが、日本では周囲の目を気にする文化だ。

 みんな仲良く和の精神

 なのだ。そして日本人は、規則よりもモラル優先で判断するため
本来なら自由であっても

 和を乱す奴はケシカラン!

 と非難されたり

 お前には善悪の区別がつかんのか!

 と非難されるのが嫌で、行使しずらい心理に陥りやすい。


 そして、私人間同士の問題でも、日本人の場合はお上志向な上
自分では責任を取りたくないため・・・

 国や行政は監督する義務がある

 とか

 法律の未整備が問題

 などと言い出したりするのだ。

 そのため行政改革とは反対に、監督や監視のために
行政機構が大きくなったり、法律が複雑になったりする弊害を生むのだ。

お上志向をなくすのが行政改革につながる
自己責任を放棄して、お上に頼る日本人。
その結果、行政の肥大化や法律の複雑化などの弊害を生む。

マスコミは「行政の無駄使い」と連呼し、国民も連呼する。
だが、何かあると「国は何をしているのか!」とか
「行政は対策すべし」という論調が並ぶ。
結局、行政の仕事が増え、経費が増大する。

無用な天下り先や、ハコモノ行政の問題も税金の無駄使いだが
国民が自己責任を放棄したための経費も相当大きいと考える。


著作権は私権

 この奮闘記の中で、ところどころ出てきましたが  著作権は私権!  なのだ。  権利者と使用・利用者との間の関係の問題なのだ。  なので、著作物の無断利用があり、著作権侵害であっても  著作権者が文句を言わない限り問題はなし!  なのだ。  身近な例を挙げてみる。
身近な例
(1) 友人A君と旅行した。
(2) 綺麗な景色を背景にした私の写真をA君が撮影。
著作権者、及び、著作人格権者はA君になる。
(3) 旅行から帰った後、ブログにA君が撮影した
私が写っている写真を無断で掲載した。
(4) 写真データをホームページに掲載するため
必然的にホームページサーバーに複製を置く事になるため
複製権侵害になる。

ホームページに掲載するので公衆送信権の侵害になる。
写真を縮小していたら、無断改造なので著作人格権の侵害になる。

 著作権法上、著作権侵害の行為をしているのだが・・・

 はたしてA君は著作権侵害と訴えるだろうか?

 ほとんどの場合、何も文句は言わないだろう。
 それに綺麗な写真の場合だと

 どうだ! 俺の腕前は!

 と自慢してくるかもしれない。

 権利者本人が文句を言わなければ、著作権侵害であっても
何ら問題ない例なのだ。

こんな場合だとA君は豹変するかも
A君が撮影した写真が、何らかの理由で価値を生み
金儲けになった時、A君は「著作権は俺の物だ」と主張するだろう。
利害が絡むと厄介になるのは、著作権に限らず、よくある話だ。

 要するに、大抵の場合は・・・

 A君に損失が発生しない限り、A君は何も言わない!

 のだ。
 A君は、不利益を被らない状態だと、わざわざ告訴するのは手間だし
「法律第一主義だ!」と称して、どうでもエエ事で、友人を訴えて
友情を壊す事の方が、遥かに大きい損失になるのだ。


 ところで、著作権は私権なので、当事者同士の問題になる。
 そのため、著作権侵害があっても、本人からの訴えがない場合
すぐには国家機関や公的機関から

 著作権侵害の行為だからやめなさい!

 とは言えないのだ。

 そして国家権力が介入しようとしても、著作権法の大半は・・・

 親告罪!

 なので、本人が告訴しない限り、検察官は公訴できないため
裁判にはならないし、刑罰の対象にはならないのだ。
 もちろん、非親告罪の部分もあるので、全てではないが・・・。


著作権と自由主義・民主主義を考える

 いよいよ著作権が「自由と権利と民主主義に関わる学習の教科書」に 迫る準備ができた。  息切れを起こしそうなのだが・・・  これを書かねば、この章が終わらへんのだ!!  と最後の気力を振り絞る私。なんて大げさな表現なんだ (^^)  著作権は私権であり、私権は私人間同士の問題であり  国家よる規制でない  なのだ。  そのため・・・  私権の行使は本人の自由であるが責任も伴う  なのだ。  この題材としてフェアユースが最適なのだ。  そこでフェアユースの、おさらいをしてみる。
フェアユースとは
アメリカの著作権法に定められている物で、著作者の許諾を得ずに
著作物を利用しても、利用方法の目的や性質によって
公正な使用(フェアユース)と認められる場合には、
著作権の侵害にならないという法律だ。

ここの事例ではなく、包括的に著作権利者の権利の
制限を行なっているのだ。

 フェアユースとは著作物を使用・利用する側が

 自己の責任で公正な使用(利用)と判断して使う!

 なのだ。

 だが、使用方法(利用方法)によっては著作権者が不利益を被ると判断すると

 著作権の侵害だ!

 と訴える事もある。

 もちろん、訴える方も「不利益を被った」と主張できるだけの
信念と覚悟がいるのだ。裁判で勝訴するとは限らないからだ。

 お互いの判断結果が衝突しあうのだ。
 そして、衝突した場合は、法によって問題の有無が争われる。

自由主義だから成り立つフェアユース

 ところで、アメリカで検索サイトを作った人は ホームページ上の著作物の利用について  フェアユースだ!  と判断しただろう。  だから、わざわざ著作権者の承認をとらずに検索サイトを運用したのだ。  だが、著作権者は「著作権侵害だ」と声をあげるどころか  どんどん著作物を利用して!!  になった。  要するに、検索サイトで上位に出現するようになれば 自分の会社や店舗の宣伝になるし、売上向上になるからだ。  自分の利益になれば訴える事などしない!  日本の場合は、フェアユースがないため、形式的であっても 著作権侵害になるため、検索サーバーを日本に置けなかったという。  でも、著作権は私権な上、ここまで私権について勉強するとわかる事だが  私権の行使は著作権者の判断に委ねられる!  のだ。  そのため、日本でも検索サイトを運用しても問題なかったのだ。  第三者から「著作権侵害」と告発される事はないし、ましてや 国家や行政からも「著作権侵害だから行政指導!」はないのだ。  もし、著作権者から指摘されたら、そこのサイトだけ 検索システムに取り込まなければ良いのだ。  その上、著作権者側にも防御の方法がある。  HTML言語には検索ロボット巡回禁止のタグもあるのだ。
検索ロボット巡回禁止のタグ

<meta name="robots" content="none">

上の場合、このサイトと、リンク先の巡回を禁止にする意味だ。
もし属性名「content」の属性値を「noindex」にすると
このサイトのみ巡回禁止になる。

 検索ロボットに訪問され、著作物を持っていかれるのが
嫌だったら、検索ロボット巡回禁止のタグを入れれば良いのだ。


 だが、自己責任を取りたがらない日本人は、著作権は私権にも関わらず・・・

 著作権侵害になるから国内では検索サーバーできない!

 となってしまったのだ。

 NTT系列の検索サイト「goo」は海外にサーバーを置いてしまった。
 そのため検索サイトは外国で発達し、日本版グーグルができずにいた。

 それでは日本の産業の発展が阻害されるという事で
役所に対して

 なんとかならんのか!

 という事で、2009年に改正された著作権法で

 検索サーバーでの利用は問題なし!

 と明記されたのだ。


 著作権に関してインターネットやキャッシュまで明記された法律は
日本ぐらいなので

 著作権法の先進国

 なのだ。

 これだと「著作権侵害」と言われて裁判になる心配もない。
 その一方で、全てにおいて条文化していかないと前に進まない状態だと
産業の発展を阻害する事になる。


 こんな状態なので、もし、日本にフェアユースが導入されると

 間違いなく混乱を招く!

 なのだ。

 使用者・利用者に対して

 あなたが公正だと思ったら著作物を無断で使っても良い
 
 でも、訴えられても、それはあなたの自己責任

 そして訴える側に対しても

 あなたが著作権侵害と思ったら訴えても良い

 でも「私権の濫用」と思われても自己責任

 なのだ。

 双方ともに、それなりの「責任を負う覚悟」が必要になる。


 特に、判例がない初期の頃は、何も照らし合わせる物がないため
アメリカの判例を参考にすると思われるが、どの事例が問題なく
どの事例が問題なのかで、混乱するのは間違いないだろう。
 そして、国内で判例が集まっても・・・

 法律で明記しないと安心できへん!

 となってしまう。

 そして著作権者、使用者・利用者、マスコミなどから

 政府は何とかせんかい!

 となるのは目に見えている。

 そんなわけで日本でフェアユースを導入しても使いこなせず
法律の未整備と称して、政府の怠慢と責任を擦り付けるのが
オチだと考えられる。

フェアユースは米国の考え方
自由主義の米国では、国家や行政の介入を嫌い、極力避けたがる。

そのため細かい著作権法を作らず、フェアユースを導入し
個々の判断(責任)に任せ、問題があれば
裁判所で判断してもらう形式になっている。

米国の国家の介入を嫌うのは、筋金入りなのだ。
オバマ大統領が国民医療保険を導入しようとしたら
多くの反対意見が出る。どんなに良い政策を作っても
大きな政府になる政策だったり、国家の介入となれば
国の理念に反するという事で反対意見が多く出るのだ。

 フェアユースをはじめ、著作権の話を見ていくと
具体的な例として、自由主義・民主主義の考え方を知る事ができる。

 まさに著作権は「自由と権利と民主主義に関わる学習の教科書」なのだ。

 著作権の入門の話を書くのが、自由主義・民主主義の話になり
私権の扱いで、国民性や国柄の違いまで垣間見る所まで来た。


著作権、著作権法とは?

 著作権の学習を通じて、著作権や著作権法について理解したのは以下の事だ。  著作権とは権利者の利益を守る権利  著作権法は、その権利に関する法律  著作権法は以下の考え方で作られているのだ
著作権法の考え方
(1) 文化発展のため、文化創出者や周囲の人である著作権者
著作人格権などの利益を守る
(2) その一方で国全体の文化の発展という面から
公共施設や教育現場、障害者向けには、著作権者の権利を
制限する事がある。
(3) 産業育成のため、著作権者の不利益が少ない場合
権利を制限する事がある。

 要するに著作権法は

 著作権者と使用者(利用者)の利害の調整役

 なのだ。

 そして著作権は私権なので、国家の介入はなく、当事者同士の問題になる。
 己の責任で私権の行使を行なう。責任を負いたくなければ行使しなければ良い。


 たった、この事を理解するため、膨大な内容になってしまった (^^;;

最後に  当初の予定では、著作権入門で本を読んで勉強した話を載せて 話を終らせるつもりでしたが、どんどん膨大になった上、 本音と建前、自由主義と民主主義の話までに発展しました。

次章「PHPmotion オープンソース動画配信サイト構築」を読む
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