システム奮闘記:その28
はじめに
Microsoftネットワークは、身近だが、奇妙キテレツな振る舞いをする。
「システム奮闘記:その17」(身近だが複雑怪奇なMicrosoftネットワーク)で
取り上げたが、ホントに、わからん事が多い。
今回は、Sambaを使って、Windowsネットワークの統制(?)をとる話だが、
最初からWINSサーバーを構築して、統制をとろうと考えたわけではなかった。
そこで、いつもの通り、経緯から導入までの道程を書くことにします。
題して「オープンソースでMicrosoftネットワーク管理」の巻き。
(注意) (2011/4/27追加) |
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ここで取り上げていますPDC構築ですが、あくまでSamba2.2系で クライアントがwin9xが前提です。Samba3系以降でクライアントが Win2000/XP/Vista/7の場合は、「システム奮闘記:その91」の SambaでPDC構築をご覧ください。 そしてSamba + OpenLDAPで構築の場合は、「システム奮闘記:その92」 Samba + OpenLDAP設定入門をご覧ください。 |
SambaでWINSサーバーの設定
「システム奮闘記:その27」(LinuxでVPNサーバー構築(PPTP続編)) で取り上げたが、自宅から会社のLANへ接続するための VPN通信ができるように設定を行なった。
自宅や出先からVPNで社内LANへの接続 |
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この方法は、営業マンが出先からモバイルで会社にアクセスすることもできる。 だが、共有ファイルの中身をダウンロードしようとすると、 普通では共有フォルダ─を見ることができない。
自宅からVPNで会社の共有フォルダ─を見る時 |
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IPアドレスなんぞ全て覚えているわけでもない。
会社にいる時と同様、LANに接続されたパソコンの一覧が出てくるようにと思い
WINSサーバーを構築したら良いのではと考えた。
「確か、Sambaで構築できたはず」と思い、Sambaユーザ会の
ホームページを見て、Samba 2.2.8a-ja-1.1のRPMをダウンロード。
RPMファイルをインストールする。呆気なく完了。
苦闘している様子を期待していた方、たまには円滑に進む事もあります (^^)
設定ファイルの設定だが、SoftDesign2003年1月号が役に立った。
smb.confの内容 |
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[global] coding system = euc client code page = 932 workgroup = XXXXX server string = %L: Samba %v on %h encrypt passwords = Yes passwd program = /usr/bin/passwd %u passwd chat = *New*password* %n\n *Re*new*password* %n\n *success* unix password sync = Yes log file = /var/log/samba/log.%m max log size = 50 deadtime = 15 read size = 65536 socket options = TCP_NODELAY SO_RCVBUF=8192 SO_SNDBUF=8192 add user script = /usr/sbin/useradd %u lm announce = False dns proxy = No os level = 20 preferred master = Yes wins support = Yes dos filetimes = Yes dos filetime resolution = Yes printing = lprng printer admin = administrator winbind uid = 10000-20000 winbind gid = 10000-20000 (以下、省略) |
赤色の部分がWINSサーバーになるための宣言 |
これで、ルーター越えした場合でも、名前解決の問題はクリアーできる。
ところで、実際に稼働しているかどうか確認したくなる。
そこで、営業所から本社の共有フォルダ─が見れないかと考えた。
営業所の事務員さんに「営業所のパソコンの設定変更したいのですが」
と持ちかけた。
事務員さんが「いいですよ」と答えてくれたので、早速、VNCを使って
営業所のパソコンの遠隔操作をし始めた。その時、ふと重大な事を思い出した。
そういえば、営業所と本社との間のルーターで、NetBIOS over TCP/IPの
パケットは遮断していたなぁ・・・ (--;;;
以前、J社に設定してもらったシスコのルーターで、Windowsネットワークの
パケットを遮断していた。あまりにもパケットを撒き散らすため、
64Kのフレームリレー回線だと回線を占有するため、それを防ぐための
措置が取られているのだ。その事を、すっかり忘れていた (^^;;
事務員さんに「やっぱり変更中止にします」と言うと、事務員さんが
「どうしたのですか? 営業所のパソコンがおかしいのですか?」と心配したので、
「心配ないですよ」と説明をした。
さて、動作確認を、どうしようかと考えた。
当初の目的通り、自宅からVPN接続して、NetBIOS名でアクセスしてみる事にした。
自宅から会社のパソコンの共有フォルダ─を見る |
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問題なく共有フォルダ─を見る事ができた (^^)
つまりWINSサーバーで、名前解決ができている事になる。
ただ、LANに接続されているパソコンの一覧が出てこない。
ブラウザーリストが来ていないのだが、この時は、何とも思わなかった。
名前解決が無事、できている事に気をとられていたのだった (^^;;
それにしても、珍しく順調に設定が進んでいるので、ちょっと不安になる。
WINSサーバーの役目は、ルータ越えした場合に、NetBIOS over TCP/IPの
名前解決だけに使われるわけではない。
同じネットワークでも、WINSサーバーがないと、相手を探すため
下図のようにブロードキャストで「**は、どこにおるねん」と叫び、
相手を探す行動に出る。
WINSサーバーがない場合だと・・・ |
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例えば、図の中にある「mifo」に接続したい場合 キャッシュの中に情報がなければ、「mifoは、どこじゃぁ〜!」と叫ぶ。 もちろん、ブロードキャストなので、パケットを撒き散らす。 |
上のようにパケットを撒き散らすと、無駄なパケットで通信回線が使われ LANの速度低下を招いてしまう。 まぁ、うちの会社のように、本社に20人くらいの会社なら、 ブロードキャストでパケットを撒き散らしても、さほど問題がないが、 大手企業の場合、100台単位でLANに接続されるため、 回線の占有を避けるためにも、ブロードキャストを止めないといけない。
WINSサーバーがある場合は・・・ |
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情報は全てWINSサーバーにあるため |
ここで脱線 uchida、kyouko、nakai、mifo と出てきたが、これらの名前の由来は、 フジTVの現役女子アナの内田恭子と、元・フジTVの女子アナで ヤクルトの古田の奥さんの中井美穂です。 現在、私は内田恭子ラブラブで、こんな女性とデートができれば良いと 叶わぬ夢を見ています ← 憲法に保証されています。精神活動の自由! 中井美穂ですが、昔、私は大ファンでした。私が大学生の時(古田と結婚する前) 大人の女性という感じで、中井美穂ラブラブでした。 古田との結婚を聞きて、私の恋心(?)が崩れ去ったと思いました (^^;; (閑話休題)Sambaでマスターブラウザーの設定
WINSサーバーが構築でき、無事、動いている事も確認できたので、 これで話は終わり。めでたし、めでたしと終わりたい所だが、 これで終わっては、全く面白くない。 そこで、パラパラとSambaの事を調べてみる事にした。 その結果、Sambaが、マスターブラウザーになれる事もわかった。 実は、ブラウジング問題は、うちの会社でも悩みの種だった。 ブラウジング問題が発生する要素などは、「システム奮闘記:その17」 (身近だが複雑怪奇なMicrosoftネットワーク)でも取り上げたが その時点では、解決には至らなかった。 そのため、ブラウジング問題の解消して欲しいという社内の声があった。 そこで、マスターブラウザーをSambaにしてしまえば解決できると考え、 設定を調べてみる事にした。そして、次のような設定を行なった。
smb.confの内容 |
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[global] coding system = euc client code page = 932 workgroup = XXXXX server string = %L: Samba %v on %h encrypt passwords = Yes passwd program = /usr/bin/passwd %u passwd chat = *New*password* %n\n *Re*new*password* %n\n *success* unix password sync = Yes log file = /var/log/samba/log.%m max log size = 50 deadtime = 15 read size = 65536 socket options = TCP_NODELAY SO_RCVBUF=8192 SO_SNDBUF=8192 add user script = /usr/sbin/useradd %u lm announce = False dns proxy = No os level = 0 preferred master = Yes wins support = Yes dos filetimes = Yes dos filetime resolution = Yes printing = lprng printer admin = administrator winbind uid = 10000-20000 winbind gid = 10000-20000 (以下、省略) |
(注意) |
色のついた行の変更を行なった。実は、間違いの設定なのだが、 この時点ではあっていると思っていた。 青色の部分だが、本来ならos levelの設定を「32」以上にするのが正解だが Sambaの説明で「(マスターブラウザーとなる)WindowsNT系OSの マシンが存在する場合は『0』にすることを推奨する」があった。 この時「マスターブラウザーとなる」を見落としたため、WindowxXPが 社内LAN上にあるので、『0』にした方が良いと勘違いをしてしまった (^^;; 「preferred master = Yes」だが、優先マスターブラウザーになるので 「優先」という言葉につられて、YESの設定をしてしまった。 os level の値が同じOSが同じLAN上にある時の優先順位を上にする時に YESにするのが正しい設定だ。 |
これでは、Sambaが、マスターブラウザーになれるわけがない。 その前に、優先マスタ─ブラウザーが何か理解していない事が発覚。 つまり、ブラウザーの話を全く理解していなかった事が露呈された。 「システム奮闘記:その17」(身近だが複雑怪奇なMicrosoftネットワーク)で 理解していたつもりだったのだが (--;; この時点では、Sambaがマスターブラウザーになったと思い込んでいた。 さて、どのパソコンが、マスターブラウザーになっているのか チェックするための、コマンドがある。nmblookup -M -コマンドだ。 そこで、nmblookup -M -コマンドを使って、実際に、Sambaマシンが マスターブラウザーになっているか確認してみたら・・・
nmblookup -M -コマンドを使った結果 |
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querying __MSBROWSE__ on 192.168.1.255 192.168.1.AAA __MSBROWSE__<01> 192.168.1.BBB __MSBROWSE__<01> 192.168.1.CCC __MSBROWSE__<01> 192.168.1.DDD __MSBROWSE__<01> 192.168.1.EEE __MSBROWSE__<01> |
5台も、マスターブラウザーが乱立していた (--;; |
なんと・・・ 5台もマスターブラウザーが乱立していた!! 予想もしていなかった。なんで、同じネットワーク内に5つも乱立するのか 理解できなかった。 しかし、マスターブラウザーのIPアドレスを見ると、鋭い勘が働いた。 これらのパソコンのワークグループがバラバラなのでは? そこで、findsmbコマンドを打った。 これは、LAN上にあるパソコンのIPとワークグループが出力されるコマンドだ。 案の定、ワークグループが乱立していたのが確認できた。 鋭い勘が的中した。しかも、的中した理由が、また驚きだ。 ワークグループって何か知らないもーん (^^;; ワークグループが何かが、わかっていないのに、勘だけが的中したのだった!! 後で、ワークグループを調べてみると、Windowsネットワークの構成の一つで、 WindowsNT系サーバーがない場合のネットワークを構成するグループだ。ワークグループとは
この時まで、ワークグループの事を「ネットワーク上でのディレクトリー的な物」 と思っていた。 理由は、ネットワーク共有する際、ワークグループを選択して、 それからお目当てのパソコンを選ぶため、わかりやすくするための分類としか 思っていなかった。 それが、ワークグループごとにマスターブラウザーが存在していたのには 驚きだった (^^;;
ワークグループについて |
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ワークグループごとに、マスターブラウザーが存在する。 上の例のように、NHKのワークグループには、kuboというマスターブラウザーが、 FUJIというワークグループには、uchidaというマスターブラウザーがある。 これらは、不定期的にブラウザーリストの交換を行なっているために、 キチンと交換できれば、ブラウジング問題が起こらないのだが、Windowsのような 摩訶不思議なOSだと、パソコンが起動しても、ブラウザーリストに 登録されなかったり、反対に、落とした時も、削除されなかったりする。 ハッキリ言って、わけがわからんOSである事には間違いない。 |
ここで、一つ、良い意味で、誤解をしていたのだった。それは・・・ ワークグループがバラバラだとブラウザーリストが交換されない! 誤解をすると、普通、ドツボにはまっていくのだが、今回、この誤解をしたために 「よっしゃ、各パソコンの端末のワークグループを統一しよう」と決めて、 作業にかかる事になったからだ。こういう誤解なら、いつでも行ないたい (^^;; ここでも脱線 先ほど、私がフジTVの内田恭子ラブラブと書いたが、以前は、NHKの人気アナ 久保純子にラブラブだった。 結婚した時「内に秘めた淡い恋心が・・・」だった (^^;; (閑話休題) そこで、社内のパソコンのワークグループ統一作業に取り掛かった。
社内のワークグループがバラバラだった理由 |
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単なる私の知識不足と怠慢です (--;; かなり以前、業者にLANを組んでもらった際は「***」で統一されていた。 その後、新規購入のパソコンについては、変更を行なわなかった。 理由は、ワークグループが何を意味するのか知らなかった上、 変更する理由もなかったからだった。 そして2004年2月に初めて重要性に気づいたのだった。 そんな事も知らなかったのという声には反論しまーす!! だって、事務員だもーん。知らなくて当然だもーん (^^)V |
さて、社内のワークグループを統一した。だが・・・ ブラウジング問題が解決していない!! この時「なんでやねん、Sambaが、怪しいのかいな?」と思った。 でも、ふと、nmblookup -M -コマンドを打つと、 なんとT君のパソコンが社内のマスターブラウザーになっている事がわかった!! これには驚いた。 てっきり、Sambaがマスターブラウザーだと思い込んでいただけに、 「なんで、そうなるねん??」だった。 ここでT君のパソコンと、Sambaとの間でマスターブラウザーを巡る 覇権争いが勃発した。ちょっと大袈裟な表現だなぁ (^^;;
マスターブラウザーを巡る覇権争い |
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なぜ、T君のパソコンから強引にマスターブラウザーを奪取する必要があるのか。 それは、T君のパソコンがWindowsXPだからだ。 T君のパソコンがマスターブラウザーの状態だと、社内のパソコンを落としても ブラウザーリストから落としたパソコンが削除されないため、例えばWindows98で、 「ネットワークコンピューター」を選ぶと、落としたはずのパソコンが 表示されるという「ブラウジング問題」が出てくる。 どうやら、WindowsXPだと、「ブラウジング問題」が起こりやすいと考えられる。 そこで、当初の目的通り、Sambaをマスターブラウザーにしたい。 もう一度、Sambaの設定ファイルを見直した。 「os level」の設定に問題あるのではと考えた。 WindowsNT系のOSの場合、「32」になる。 Sambaに設定した値は「1」にしていた。既に、触れたが「1」にしたのは 私の誤解から来るものだった。 そのため、T君のパソコンがマスターブラウザーになって当然だ。 そこでSambaの「os level」の設定を「33」に引き上げて、 Sambaを再起動させた。すると・・・ マスターブラウザーの奪取に成功! ついに、Sambaがマスターブラウザーになる事に成功した。 それから数日、Sambaで運用したが、ブラウジング問題が起こらなくなった。 まだ、落とし穴があってはいけないと考えた。 そこで「アンドキュメンテッドMicrosoftネットワーク」(高橋基信:翔泳社)を 取り出す事にした。 実は、この本の汚れ具合いが綺麗に、わかれている。 物忘れの激しい私。第3章までは何度となく調べているため、結構、汚れているが、 それ以降の章は、使う機会がなかったので、綺麗なままだった。 今回は、第4章や、付録DのSambaの話まで手をつける事になった。 本は綺麗なままだと、あまり利用していないように感じる。 ボロボロになるまで使うガメツサが必要と主張したい所だが、偉そうに書くと 「アンタが1回で理解できへんだけや」とか「物忘れが激しいだけや」と 反論できない突っ込みがきそうなので、やめておきます (^^;; ここで、マスターブラウザーについて頭の整理をする事にした。 マスターブラウザーにも、ドメインマスターブラウザーや、 優先マスターブラウザー、ローカルマスターブラウザーがある。 これらの違いを把握しておかないと、Windowsネットワークを組む時に 「ブラウジング問題」への対処ができなくなる。 まずは、力関係のランクで分類してみる事にした。
マスターブラウザーのランクについて | |
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ローカル マスターブラウザー |
普段は「マスターブラウザー」と言う。 同じLAN内のパソコンの、どれかがマスターブラウザーになる。 任意に選ばれた、マスターブラウザーの事を意味する |
ドメイン マスターブラウザー |
同じネットワーク内で「俺がナンバー1」と名乗って、 マスターブラウザーになる奴の事を言う。 それには、資格が必要で、PDCである事が条件。 |
Sambaで 「os level」の調整 |
かなり強力な力を持って、マスターブラウザーになる事ができる。 levelが「32」を越えると、マスターブラウザーを 奪取する事ができるが、PDCが存在すると、混乱を招く事があるので 設定に注意が必要。 |
次に、マスターブラウザーになれる可能性という分類をしたみた。
マスターブラウザーになれる可能性での分類 | |
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ポテンシャル・ブラウザー |
マスターブラウザーになれる可能性のあるパソコンの事を言う。 同じワークグループ内のOSが同一の場合、いつ任意で選出されるか わからないパソコンの事を言う。 |
優先マスターブラウザー |
ワークグループ内の全てのパソコンのOSが同じだった場合、 優先的にマスターブラウザーになれるパソコンの事を言う。 WindowsNT系のOSだとレジストリーの変更で設定可能。 |
ただ、この上の説明の文章は、厳密に正しいとは言えないが、 事務員なので、許してくださーい (^^;; この辺の話は、ややこしい。編集している私自身、混乱しているのらー!! MSよ! もっと簡単なシステムを作らんかい! と思う今日この頃。
sambaでNTドメイン、PDCの構築
Sambaと言えば、思い出した事があった。 2002年10月にLILOのセミナーで、Sambaユーザ会の 副代表幹事の小田切さんが講師で西宮に来られた。私は、受講したのだが、 当時、私は、Windowsのネットワークは全くといって無知だった。 セミナーの時に配られた資料を見ていると、当時、いかに私が無知だったかを 証明する書き込みばかりだった (^^;; 「WINSは、Windows版のDNS」とか、マスターブラウザーの所に アンダーラインを引いていて「コンピューターの接続・・・」になっていた。 もちろん、PDC、BDCも、何なのか全く知らなかった。 今だから正直に白状します。 小田切さん、ごめんなさい。講演内容を全く理解できませんでした m(--)m セミナー後の懇親会で、小田切さんの名刺を頂いた。今の大切に保管している。 さて、1年半近くを経て、読み返す事にした。すると、意外と理解できる。 当時は、PDCとBDCが何であるか、全くわかっていなかったのだが、 今回のSambaのために、調べていた。 Windowsパソコンで、ユーザー管理や認証管理を行なう事ができる。 通常、個々のパソコン単位で、それを行なっている。 しかし、パソコンの台数が多くなると、整合性の問題や管理の手間が増えるため Windowsサーバーで、一元管理する事ができる。 その管理を行なうサーバーの事をPDCという。 PDCのバックアップを行なうのがBDCだ。 そして、一元管理するネットワークの範囲(?)の事を、NTドメインという。
NTドメインについて |
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Sambaでも、PDCになれる事を知った。 Windows98系の認証の場合、Sambaだけでも可能だという。 実際に、自分の目で確かめるために、まずは、SambaをPDCにするために 設定ファイルを触った。
smb.confの内容 |
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[global] coding system = euc client code page = 932 workgroup = XXXXX domain logons = Yes server string = %L: Samba %v on %h encrypt passwords = Yes security = domain passwd program = /usr/bin/passwd %u passwd chat = *New*password* %n\n *Re*new*password* %n\n *success* unix password sync = Yes log file = /var/log/samba/log.%m max log size = 50 deadtime = 15 read size = 65536 socket options = TCP_NODELAY SO_RCVBUF=8192 SO_SNDBUF=8192 add user script = /usr/sbin/useradd %u lm announce = False dns proxy = No os level = 33 preferred master = Yes domain master = Yes wins support = Yes dos filetimes = Yes dos filetime resolution = Yes printing = lprng printer admin = administrator winbind uid = 10000-20000 winbind gid = 10000-20000 (以下、省略) |
色のついた行の変更を行なった。 |
また、SambaをPDCにした事により、ドメインマスターブラウザーになれる。 この利点については、後述しています。 しかし、ここで立ち止まってしまった!! その理由は・・・ NTドメインの名前を、どこに記述するのか、わからへん (TT) そもそも、NTドメインの名前をSambaの設定ファイルに記述しないと いけないはずだが、どこに記述して良いのか、わからない。 手元に、詳しいSambaの解説書がなければ、何もない。 しかも、この設定は、社内で行なう必要性が全くない。 その上、こういう物書きをやっていると、耳元で「動作検証などで苦しむよりも 早く、この原稿を適当な所で書き終えて、他の記事を書く方が楽だよ」という 悪魔のささやきに誘惑される。 そのため、一度は 忍法・先送りの術! を使う事を決めた。 しかし、やっぱり性格柄 自分の目で確かめたい! なので、やってみる事にした (^^) 救いになったのは次のホームページだった。 sgさんのホームページ(2010年12月時点で閉鎖していたので残念・・・)の Sambaの設定方法だった。 設定について上手にまとめられた、わかりやすいホームページだった。 NTドメイン名の記述についてだが、これはワークグループ名と同じになる事が わかった。 そして、クライアント側のWindows98の設定だった。 「コントロールパネル」→「ネットワーク」でを選ぶ。 「Microsoftネットワーククライアント」で、NTドメインへの参加を登録する。
NTドメインへの参加のための設定 Windows98の場合 |
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NTドメインの所に、Sambaで登録されているのと同じ ワークグループ名を記入する |
設定が終わった。下図のように、社内のある2台のWindows98のパソコンを Sambaのドメインの支配下に置く実験をする事にした。
NTドメインの実験について |
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さて、一度、Windows98のパソコンを再起動させた。 実際に、認証がうまくいくかどうか、確認する。認証画面がでてきた。
ログインの認証画面 |
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ドメイン名は、Sambaと同様のワークグループ |
ふと思った。 Sambaにユーザー登録していないのでは・・・(^^;; そこで、Sambaにユーザー登録すべく、登録コマンドを打った。 smbpasswd -a (ユーザー名)を入力したのだが、 なんで、エラーがでるねん!! エラーの内容を見ると、Sambaを入れているLinuxのサーバーに アカウントを作っていないため、エラーが出ている事がわかった。 そこで、アカウントも設けた。そして、ログインをすると 見事、成功!! (^^)V さて、一度、ログオフした。 そして、認証エラーがでるかどうかの確認のため、意図的に、誤ったパスワードを 入力してみた。すると 見事、認証エラーを出した!! (^^)V これで外部の人が勝手にパソコンを触ろうとしても、認証エラーで跳ね返せるので セキュリティーは向上したと一瞬、喜んだ。 しかし、Windows98のパスワード認証は、あってないに等しい。 なぜなら、キャンセルされたら無意味だからだ。 そこで、キャンセルでログインしてみた。
ログインの認証画面 |
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ドメイン名は、Sambaと同様のワークグループ キャンセルボタンでログインしてみる。 |
案の定、ログインできた。全くセキュリティー向上にはなっていない。 これでは、仮に泥棒が入って、社内のデータを持ち出す事だってできる。 Windows98の間抜けな認証には、困ったものだと思った。 しかし、認証問題の事を調べてみると、別の事がわかった。
キャンセルでログインした場合 |
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キャンセルでログインすると同じNTドメインのパソコンや ドメインの外のパソコンへ接続ができなくなる |
ここは自分の目で確かめたいので「ネットワークコンピューター」で ネットワーク共有しているパソコンを見てみると、本来、見えていたはずの パソコンが、下図のように見えていない。
ネットワークコンピューターの画面 |
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そこで、強引に他のパソコンへ接続(?)するために、NetBIOS名を入力して 他のパソコンへ接続を試みるが
接続エラーの画面 |
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見事に接続拒否された!!
ある程度のセキュリティーがある事がわかった。
でも、接続したいパソコンの前へ行き「キャンセル」すれば、
全くセキュリティーの意味がなくなる。
パスワード認証で、キャンセルしてもログインできなくなるソフトが
フリーウェア─で存在している。
http://www.vector.co.jp/soft/win95/util/se101648.htmlのサイトにあります。
3回、パスワードを間違えたり、キャンセルしたら、強制終了される優れ物だ。
これで、泥棒が入っても、社内情報を持ち出される危険性は回避される。
SambaでNTドメインを組んだり、フリーソフトの活用によって、
Windows98のパスワード問題を解決できる事がわかった。
現在の所、各人のパソコンにパスワードをつける要請は来ていないし、
逆にパスワードを設けると混乱するだけなので、設定の予定はないが、
今度、このような要請が来た場合には、対応できる準備は整った。
しかし、Windows2000以降のOSの場合だと、Sambaだけでは
ユーザー管理ができないため、OpenLDAPの登場になる。
これが小田切さんの講演の話となっていく。
さて、小田切さんの講演の資料を読んでいくと、Sambaが凄さがわかってくる。
SambaとOpenLDAPを組み合わせると、Windowsサーバーなしで、
Windows、Linux、UNIXのユーザー管理の一元化が可能だからだ。
Samba + OpenLDAPの認証システム |
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(2011/4/27追加) ようやく2011年になって、自力で構築できるようになりました。 詳しくは「システム奮闘記:その92」(Samba+OpenLDAPの設定入門) をご覧ください。 |
Windowsのネットワークをオープンソースで管理してしまうという まさに「お見事!」と呼べる話だ。 ちなみに、Samba単体でもBDCになる事はできるらしいが、 機能が不十分のようだ。Microsoftが仕様を公開しないのが原因らしい。 OpenLDAPを使う事によりSambaでも問題なくBDCになれるという。 事務員の私にとっては、この話の概略が理解出来ただけでも感激で、 とても構築するだけの知識や技術は持っていない。 もちろん、うちの会社では、NTドメインを構成する必要性がないのも事実。 必要がなければ、そこまで手を出す事もないし、出したくても、設定する時間も 予算も何もつかない。 ただただ、オープンソースの素晴らしさに感激するのみだった。 (未確認情報ですが) 私の大学時代の先輩の話では、AS/400でも、LDAPを使う事が可能だという。 AS/400でもユーザー管理の一元化が可能なら、中小企業が使うOSを 全て網羅している言っても過言ではない。
ある日、体調不良で会社を休んだ。 午後から体調が持ち直し、この原稿を書くために、調べ物をする。 「アンドキュメンテッドMicrosoftネットワーク」(高橋基信:翔泳社)を取り出す事にした。 その時、本のP118に、下図のような物が載っていた。
ドメインマスターブラウザーがあると |
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ネットワークが違っても、同じワークグループの場合、 ドメインマスターブラウザーと、ローカルブラウザーは情報交換できる。 そのため、ルーター越えでも、同じワークグループに所属していると、 Windows98の場合「ネットワークコンピューター」をクリックすると、 あたかも、同じネットワーク内にあるかの如く、パソコンが表示される。 |
これを見た時「使えそう」と思った。 自宅のパソコンのワークグループを、会社のパソコンと同じ物に変更した。
自宅のパソコンのワークグループの変更 |
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そして、PPTPで接続した。 「ネットワークコンピューター」をクリックすると、下図が出てきた。
自宅から「ネットワークコンピューター」で会社の様子を見る |
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今まで、会社のパソコンに接続するのは、NetBIOS名を入力する必要があった。 その場合、知っている人なら対応できるが、他の人にとっては敷居が高い話になる。 しかし、上図のように、会社にいる時と同じように、社内LANのパソコンの 一覧が表示されると、便利だし、手間も教育の必要もなくなる。 これは、他にも応用ができる。 現在、進めている拠点間の通信をVPNへ移行の準備をしている。 フレームリレー回線だと、本社と営業所間のファイル共有は行なっていなかった。 Windowsネットワーク独特のパケットを撒き散らす習性のため、細い回線だと、 回線が占有される問題があるため、NetBIOS over TCP/IPのパケットは 通過させないようにしていた。 しかし、VPN導入だと回線が大幅に増強される。 もちろん、ファイル共有の話も出てくる。 もし、「ネットワークコンピューター」をクリックしても、表示されずに、 NetBIOS名を入力していたのでは、便利さが半減する上、NetBIOS名なんぞ、 覚えてられないので、あまり使われなくなる。 折角の回線増強の効果が下がってしまう。 そう考えると、今回の、この発見は意義が大きいと自分では思っている (^^)
最後に 今まで、Sambaといえば、ファイルサーバーのイメージが強かったのだが、 今回は、WINSサーバーとマスターブラウザーに利用しました。 そして、Win98をクライアントとして、ちょっとしたNTドメインを構築し PDCとしても動かしてみました。 WindowsXP/Vista/7でのPDC構築は「システム奮闘記:その91」 SambaでPDC構築をご覧ください。 それに、2002年10月のLILOのセミナーで、小田切さんの話が ようやく1年半近くを経て、話の概略が理解できたので、喜んでいます。 肝心のファイルサーバーへの利用ですが、「システム奮闘記:その34」 (Sambaでファイルサーバーの構築)をご覧ください。 私は、MS嫌いで反MSの立場なのだが、MS製品を触るのはお勧めします。 MS製品の事を知ると、今回、取り上げたような形で、 オープンソースの良さを享受できるだけでなく、Sambaを使うと、 「もう、Windowsサーバーは要らない!!」と宣言する事も可能です!! 是非、反MSの方にはお勧めです (^^) ← 煽ってどうする!
SambaでPDC構築について (2011/4/27追加) | |
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その91 | SambaでPDC構築 SambaでPDC構築の話で、設定ファイルの説明を書きました上 WindowsXP/Vista/7に対応しています。 |
その92 |
Samba+OpenLDAP設定入門 Samba+OpenLDAPでPDC構築の話を書きました。 ユーザー情報の一元管理の話も書いています。 |